とっておきの話

新しい飛行機がやって来る! 〜パイロットの役割〜【キャプテンの航空教室】

文/緒方信介 絵/吉井みい

私たちパイロットは、通常の乗務のほかにもさまざまな業務を行っています。今回はその一つとして、新しく製造された飛行機を購入する際の仕事についてご紹介したいと思います。

 
飛行機の導入は自動車と同じように、新しく製造された機体や中古の飛行機を購入したり、リース会社からレンタルをするなど、さまざまな方法があります。私が乗務する「エンブラエル170/190」を導入する時には、エンブラエル社より新たに製造された飛行機を購入しています。その際、さまざまな部署が携わることとなりますが、我々パイロットもそのなかの一つの仕事として「領収検査フライト」を受け持っています。これは、私たちJALグループのパイロットがエンブラエル社の本社があるブラジルに赴き、完成したばかりの飛行機を操縦し、すべてのシステムが正常に作動するか確認を行うというものです。例えば、自動操縦装置(Autopilot System)や自動推力調整装置(Autothrottle System)、空調システムなどを確認し、細かいものも合わせると数百項目もの検査を上空で行っています。

 
この領収検査フライトを終えると、エンブラエル社とJAL双方の整備チームやパイロットなどの間で協議を行い、両社が納得する完璧な飛行機となるまで細かい調整を続けていきます。システム上は完璧でも、パイロットが感覚的に違和感を覚える場合があります。そのような時は都度、微調整を行い、システム的な面から見ても、パイロットの感覚的な面から見ても、完璧であるといえる飛行機を創り上げていくのです。驚かれるかもしれませんが、操縦席のシートを動かすレバーの稼働のスムーズさや、スイッチの硬さに至るまで、実際に操縦してみて覚えた感覚を伝え、調整を進めていくのです。こうした領収検査フライトや協議の結果、完璧になった飛行機をJALグループとして迎え入れています。

 
そんな新たに購入した飛行機について、もう一つ。私も最初は驚きましたが、新しい飛行機に乗り込むと、自動車と同じく新車(新造機)の匂いがするのです! 飛行機に乗る際の楽しみ方として、飛行機の匂いを感じていただくのはいかがでしょうか? 今、ご搭乗いただいている飛行機は、どんな匂いがしますか。新しい匂いを感じていらっしゃる皆さまは、製造されて間もない飛行機にご搭乗いただいているのかもしれませんね。

 
mr.ogata
緒方信介 Shinsuke Ogata
J-AIR エンブラエル170/190機長
出身地:千葉県 
趣味:野球 旅行
座右の銘:「努力に勝る天才なし」

 

(SKYWARD2018年11月号掲載)
※記載の情報は2018年11月現在のものであり、実際の情報とは異なる場合がございます。掲載された内容による損害等については、一切の責任を負いかねますのでご了承ください。

 
 

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