とっておきの話

JALグループ機長が語る、不思議な縁とは?【キャプテンの航空教室】

文/井村裕 イラスト/高橋潤

実は航空会社のパイロットとなる道はさまざまで、琉球エアーコミューター(RAC)のパイロットの出身も多岐にわたります。自衛隊、海上保安庁、航空大学校、他航空会社、他業種経験者……。最近では私立大学のパイロットコースの卒業生も増えてきており、年齢層はかなり若くなっています。

 
私が新人だった8年前はパイロットの年齢層が高く、引退される大先輩を今日まで何人も見送りました。さまざまな経歴を持つ先輩方のお話はとても面白く、それこそ私が生まれる前からパイロットをしているような方の話は知らないことばかりでした。過去に乗っていた輸送機、ヘリコプター、ジャンボジェット機のことや、そのまた大先輩方のお話など。なかでも特に印象的だったのが、先輩が小型機を扱う会社に勤めていた際に、とある大御所芸能人をよく乗せていたというお話でした。なぜ印象に残っていたかというと、その芸能人が、私が飛行機に乗りたいと思ったきっかけに関係していたからです。

 
そのきっかけとは、中学生の頃からヘビーリスナーだった深夜のAMラジオでした。あるときその大御所芸能人が、自分が所有するセスナ機に乗って飛んでいたという昔の逸話をラジオで話していました。遠い世界の芸能人の話とはいえ、中学生の私は「いつか自分も飛行機で自由に空を飛べたらいいな」と少し身近に考えたのです。

 
しかし大学生になって就職活動をするまでは、パイロットになるという発想は全くありませんでした。就職活動中にパイロットの自社養成制度を知り、そこからパイロットへの道がスタートしたのですが、それまではただ漠然とそのラジオの記憶から、「飛行機で自由に飛んでみたい」という思いが頭の片隅にあるだけでした。

 
それから約15年がたち、先輩が大御所芸能人を乗せていたと知ったときは大変驚き、興奮しました。数ある航空会社のなかでも、沖縄県内を中心に運航しているRACでお会いできたことにとても不思議な縁を感じました。その先輩は昨年引退されたのですが、RACに在籍していたのはわずか5年ほどでした。

 
RACの路線は主に沖縄の離島を結ぶもので、比較的短い距離を低高度で飛ぶことが多く、眼下の青い海や島々をより近くから眺めることができます。天候によっては自由な経路をとることもあり、空を自在に飛んでいるように感じられます。使用機材は翼が胴体の上部についている高翼機ですので、お客さまからも外の景色が見やすく、飛んでいる実感を得やすいかと思います。もし興味を持たれた方は、ぜひご搭乗ください。何か不思議な縁があるかもしれませんよ。

 
Mr.imura
井村裕 Yuu Imakura
琉球エアーコミューター
ボンバルディア DHC8-Q400CC型機
出身地:神奈川県
趣味:ジム通い
座右の銘:思い立ったが吉日

 

(SKYWARD2020年4月号掲載)
※記載の情報は2020年4月現在のものであり、実際の情報とは異なる場合がございます。掲載された内容による損害等については、一切の責任を負いかねますのでご了承ください。
※最新の運航状況はJAL Webサイトをご確認ください。

 
 

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