宮城県気仙沼市から10kmほどの所にある小さな岬が岩井崎。石灰岩が波によってギザギザに浸食され、鋭くとがった奇岩が海岸沿いに続く。岬の先端には、海蝕洞の岩孔に波が打ち寄せて、クジラの潮吹きのように勢いよく海水を噴き上げる「潮吹き岩」がある。干潮で波の高い日には、10m以上にも噴き上げるダイナミックな光景。自然の不思議なパワーに魅せられ時間を忘れ、もっと高く噴き上がる瞬間を求めてシャッターを切り続けた。
三陸復興国立公園
東日本大震災で被災した三陸地域の復興に貢献するため、陸中海岸国立公園の区域を拡張して創設された。青森県八戸市蕪島から宮城県石巻市牡鹿半島まで、南北の延長は約250kmに及ぶ。豪壮な断崖が連なる北部、優美なリアス海岸が入り組む南部と、エリアごとに趣の異なる海景が楽しめ、ウミネコをはじめとする海鳥の楽園となっている。沿岸には日本有数の水揚げを誇る漁港が点在し、新鮮な海の幸は三陸の大きな魅力の一つだ。
DATA|指定:昭和30(1955)年5月2日陸中海岸国立公園/平成25(2013)年5月24日(三陸復興国立公園として区域を拡張) 面積:28539ha(陸域のみ) 地域:青森県、岩手県、宮城県
環境省 日本の国立公園Webサイト
今月の一景へのアクセス
仙台空港から岩井崎・潮吹き岩…三陸自動車道を経由し車で約2時間
森田敏隆
もりた としたか/風景写真家。1946年、大阪府生まれ。国立公園の四季折々の絶景、棚田や桜などの日本の原風景を50年以上にわたり撮影し続け、80冊の写真集を発表している。
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