旅の寸景

苔むす森、白谷雲水峡【眼福一景】

文・撮影/森田敏隆

鹿児島県熊毛郡屋久島町にある、白谷雲水峡。スタジオジブリの映画『もののけ姫』の舞台のモデルになったともいわれる、この屋久島の苔むす森へは、宮之浦川支流白谷川の渓谷沿いの滝を巡り、森林の登山道を登り、沢を渡り(*)、巨木のくぐり杉や七本杉を経て到達する。標高はおよそ870m。足元の岩や倒木も、樹の幹や枝も一面緑の苔で覆われ、幻想的な深緑の世界が広がっている。

 

(*)この沢は、雨が降って増水している場合は渡れないので入り口で要確認。

 

屋久島国立公園

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屋久島は、花崗岩の隆起によって形成された日本屈指の山岳島。標高1,800mを超える山々と急峻な谷が織り成す自然美が魅力。多雨がもたらす天然林には樹齢1,000年を超える杉などの巨木がそびえ、その神秘的な景観に惹かれ世界中から観光客が訪れる。また、薩南諸島最大の火山島・口永良部島は、現在も活動を続ける火山のダイナミックな景観と、手つかずの海食崖風景が特徴。屋久島とは全く異なる動物相を育む。

 
DATA|指定:昭和39(1964)年3月16日(霧島屋久国立公園として編入)/平成24(2012)年3月16日(屋久島国立公園として分離) 面積:24,566ha(陸域のみ) 地域:鹿児島県
環境省 日本の国立公園Webサイト

 

今月の一景へのアクセス


屋久島空港から宮之浦地区…バスで約25分▷宮之浦地区から白谷雲水峡…バスで約30分。※季節や天候により運休あり。

 
森田敏隆
もりた としたか/風景写真家。1946年、大阪府生まれ。国立公園の四季折々の絶景、棚田や桜などの日本の原風景を50年以上にわたり撮影し続け、80冊の写真集を発表している。

 

(SKYWARD2019年11月号掲載)
※記載の情報は2019年11月現在のものであり、実際の情報とは異なる場合がございます。掲載された内容による損害等については、一切の責任を負いかねますのでご了承ください。

 
 

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