夏に大きな花を咲かせる蓮はスイレン科の多年生水草。水面下の泥のなかには地下茎が伸びています。やがて花が枯れ、秋が深まる頃、地下茎が肥大し、れんこんになります。
れんこんの原産は中国ともインドともいわれ、来歴には諸説ありますが、日本では奈良時代には既に食用とされていたようです。
いくつも穴があき、見通しがいいと、縁起物として重宝されてきました。
この穴は泥のなかでも呼吸ができるよう、水上の葉から地下茎へ空気を送るストローのようなもの。
果肉には粘り気があり、成分のムチンは水の冷たさから体を守る役目をしています。
現在流通している多くが中国種ですが、熊本県八代郡氷川町で作られている「あかねれんこん」は品種改良がされていない在来種。赤みがかった色をし、形は細長く、デンプン質が多いことが特徴です。モチモチとした食感で、味わいがとってもいい。噛むほどに滋味が広がります。料理のお薦めは、生のまますりおろした「れんこん汁」。かつおだしをとり、大根など旬が同じ根菜類と合わせます。また、れんこんは成長順に節をつないでいきますが、最初に成長した太い節は硬いので煮物に、若い節は酢の物にと、節ごとに料理を変えていくのが上級ワザです。栄養価が高く、体を温める作用もあるれんこんは、寒さが増す頃が旬。
蓮の花の下に広がる泥のなかをじっと這い、脈々と命をつないできた、寡黙でタフな野菜なのです。(談)
●食べ頃:11~2月
●大きさ:長いもので約1.5mにもなる
●選び方:ハリがあるもの、細長いもの、ふっくらしているもの
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