旅への扉

アラスカ 北の果てに生きる [Vol.4]

文/吉原徹 撮影/柳川詩乃

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日の出と共にフェアバンクスを飛び立った小型飛行機は、北極圏に向けて飛行を続けていた。淡い朝の光が大地に降り注ぐと、風景に美しい陰影が浮かび上がる。雪と永久凍土が織りなすモノクロームの原野と、大きく蛇行する川の流れ。人の存在を感じさせない景色は、ここがアラスカであることを雄弁に物語っていた。

 

冬の人口はわずか10人 北極圏の入り口の村

1時間20分ほどのフライトを経て辿り着いたのは、ブルックス山脈の南麓に位置するベテルス村だった。北緯66度33分の北極圏境界線のさらに北にあるこの村は、極北の原野への玄関口。ハイシーズンとなる夏場には60人ほどの人々が暮らしているが、冬もここに留まる住人はわずか10人ほどだという。

 

▲左/フェアバンクスからベテルス村へ向かう機上からの風景。右上/「ベテルス・ロッジ」で働く人々。右下/マッシャー(犬ぞり使い)として働くジョンさん。

 
「ようこそ、ベテルスへ」

 
出迎えてくれたのは、村の中心部にある「ベテルス・ロッジ」のオーナー、エリック・フォックスさん。オーロラベルトの真下にあるこの村は、絶好のオーロラ観測ポイント。世界中から訪れるゲストのために、冬もロッジを開けているのだという。

 
「北極圏の生活は簡単じゃないぞ。歯医者に行くためだけに何時間も車を走らせなければいけないし、機械や建物が壊れたら自分で直すしかない。タフでなければ、生きていけない。でも、俺はそんな生活が気に入っているんだ」とエリックさんは、豪快に笑う。

 
午後、コユクック川の下流のオールド・ベテルスに向かうことにする。ゴールドラッシュ時代に交易所が建てられていたこの地は、ベテルス村の起源となった場所。スノーモービルで約30分の距離にあるという。

 
氷点下30度。スノーモービルのアクセルを回すと、みるみるうちに村の気配が遠ざかっていった。吹き付ける風は身を切るように冷たく、雪原はどこまでも広い。その圧倒的な自然は、人間の弱さや脆さを否応なく突きつけてくるようだった。

 

▲オールド・ベテルスの廃屋。

 

▲オールド・ベテルスへと続く雪原。

 

 

Information about Alaska

アラスカ大学 北方博物館 University of Alaska Museum of the North

アラスカ大学フェアバンクス校に隣接する博物館。ゴールドラッシュ時代の歴史的資料や、先住民文化、自然、アートなどアラスカに関わる豊富な展示を誇る。
電話:1-907-474-7505
住所:1962 Yukon Dr, Fairbanks
URL:www.uaf.edu/museum/

 
 
チナ温泉リゾート Chena Hot Springs Resort

アラスカで唯一年間を通じてオープンする温泉リゾート。野趣溢れる露天風呂のほか、オーロラ観測や犬ぞり体験など多彩なアクティビティーを楽しめる。
電話:1-907-451-8104
住所:56.5 Chena Hot Springs Road Fairbanks
URL:chenahotsprings.com(英語)
www.chenahotspringsjapan.com(日本語)

 
 
パイオニア・ミュージアム Pioneer Museum

「パイオニア・パーク」内に位置する博物館。金の採掘や交易に使われた道具、20世紀初頭の家具など、フェアバンクスの歴史を物語るさまざまな展示が行われる。
電話:1-907-456-8579
住所:2300 Airport Way, Fairbanks
URL:www.pioneersofalaskafairbanks.org/about/pioneer-museum/

 
 
ベテルス・ロッジ Bettles Lodge

北極圏の入り口の村、ベテルスのシンボル的ロッジ。夏は登山やカヤッキング、冬はオーロラ観測や犬ぞりツアーの拠点として各地から多くの旅人が訪れる。
電話:1-907-692-5111
住所:1 Airline Dr, Bettles, AK 99726
URL:bettleslodge.com/new/

 

アラスカへのアクセス


東京(成田)からシアトル・タコマ国際空港(*)・バンクーバー国際空港へ、また東京(成田)・大阪(関西)からロサンゼルス国際空港へJAL直行便が毎日運航。アラスカ航空に乗り継ぎ、フェアバンクス国際空港へ。もしくは、シアトル・タコマ国際空港(*)・ロサンゼルス国際空港からアラスカ航空でアンカレッジ国際空港へ。
*2019年3月31日より、東京(成田)-シアトル線開設。

 
コーディネーション/HAIしろくまツアーズ

 

(SKYWARD2018年11月号掲載)
※記載の情報は2018年11月現在のものであり、実際の情報とは異なる場合がございます。掲載された内容による損害等については、一切の責任を負いかねますのでご了承ください。

 
 

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