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ウイスキーの種類と選び方|おすすめ銘柄と飲み方も解説

世界的なブームとなっているウイスキー。時間が創り出す深い味わいは格別だが、産地や原料、製法によってタイプも多様でとっつきにくい側面もある。今こそウイスキーに関する基礎知識と種類を学び、おすすめの銘柄を覚えよう。

 
この記事では、

 
・ウイスキーの基礎知識
・主な産地とタイプ
・好みのタイプと出合うには?
・おすすめ銘柄と飲み方

 
について詳述する。

 

ウイスキーとは何か?

 

酒類の分類やブランデーとの違い

まずは酒類の分類から。酒類は「醸造酒」「蒸留酒」「混成酒」の3つに分けられる。

 
醸造酒は、果物や穀物を糖化させ、酵素や酵母の働きで発酵させたもの。ビールやワイン、日本酒、シードル(りんごが原料)がこれに当たる。

 
蒸留酒は、果物や穀物を醸造酒造りの際と同様にアルコール発酵させた後、さらに蒸留して造る酒。ウイスキーやブランデー、ジン、ウォッカ、ラム、テキーラ、焼酎や泡盛は蒸留酒だ。

 
果実が自然に発酵して生まれた醸造酒に対して、蒸留酒は蒸留という技術が発明されてから誕生したので、その歴史も当然浅い。

 
混成酒は、醸造酒や蒸留酒に植物の種や果実、果皮などを漬け込み、フレーバーや糖分を加えた酒。リキュール、梅酒、みりん、薬酒がこれに当たる。

 
ウイスキーは、大麦、ライ麦、小麦、オート麦、トウモロコシなどの穀物を原料とし、糖化・発酵・蒸留の工程を経て得られた原酒を木樽に入れて寝かせて造る。「木樽で寝かせる」というのもウイスキーの大きな特徴である。同じく樽熟成を行うブランデーとは原料が異なる。

 
ごく簡単にいえば、ビールを蒸留して樽熟成したものがウイスキー、ワインを同様の手順で仕立てたものがブランデーだ。

 
収穫したブドウ(果糖)は放置しておいても果皮に付いた酵母の働きで自然に発酵を始めるが、穀類(でんぷん)はそのままの形では発酵に適さない。そこで「糖化」という独特の工程が必要になる。ここでは、大麦を原料とするウイスキーを例に挙げて、糖化の工程を簡単に説明しよう。

 

ウイスキーの造り方

 
まず原料となる大麦を水に浸けて発芽させ、麦芽(モルト)を作る。この時、発芽が必要以上に進まぬよう、途中で熱を加えて発芽を止めるのだが、スコットランドなどではこの工程で伝統的にピート(泥炭)を燃料として使っていた。このピートの焼けた匂いが麦芽に移り、ウイスキー独特のピート香となった(現在は、ピート香は別の工程でつけている)。

 
次に麦芽を粉砕してマッシュタン(発酵槽)に入れ、お湯を注いで攪拌する。すると、麦芽に含まれる酵素の働きで穀物のでんぷんが糖に変化する。これが糖化である。糖化した液体をウォート(麦汁)と呼ぶが、発酵前の段階のこの「ジュース」は甘くて栄養豊富で、蒸留所のスタッフだけが楽しめる栄養ドリンクだ。

 
さらに工程を追っていこう。ウォートに酵母を添加すると、酵母が糖分を食べ、代謝によってアルコールと炭酸ガスを排出する。この工程が発酵である。発酵を終えた段階の液体のアルコール度数は7~9%程度。これをウオッシュ(もろみ)と呼ぶ。

 

 
次がいよいよ蒸留の工程だ。ウオッシュをポットスチル(蒸留器)に入れて加熱する。蒸留は通常2~3回行われる。複数回の蒸留を終えて出てきた「ニューポット」は、無色透明でアルコール濃度は40%以上ある。

 
ニューポットを樽に入れ、貯蔵庫に静置して熟成させる。この時に使う樽は、一般的にはワインの熟成に使った後の古い樽である(バーボンウイスキーの場合は内側を焦がした新樽を使うことが法律で義務付けられている)。

 
バーボン樽、シェリー樽、ポートワイン樽など、使う樽の種類は、産地や蒸留所の目指すスタイルによってさまざま。いずれにせよ樽熟成を経ることでウイスキーの口当たりは丸みを帯び、バニラやナッツ、皮革などの複雑でリッチなフレーバーを帯びていく。

 
「馥郁(ふくいく)」という表現が用いられるのはウイスキーなど樽熟成をかけた蒸留酒だけだ。

 

モルトとグレーンの違いを理解する

大麦麦芽のみを原料とするウイスキーを「モルトウイスキー」という。一方、トウモロコシや小麦、ライ麦など大麦以外の穀類も使って造るウイスキーを「グレーンウイスキー」という。

 
製法にも違いがあり、モルトウイスキーが単式蒸留器で蒸留されるのに対し、グレーンウイスキーは連続式蒸留器で蒸留される(例外もある)。

 
原料と製法の違いにより両者の味わいにも違いが生まれる。モルトウイスキーは複雑で深みのある味わいを持つのに対し、グレーンウイスキーはクリーンで軽快な味わいが特徴だ。

 

シングルモルトとブレンデッドを理解する

 
1980年代以降、日本でも欧米でも「シングルモルト」がブームになり、それがクラフト蒸留所の林立、ひいては今日のウイスキーブームの端緒をひらくことにつながったのだった。

 
しかし、ウイスキー全体の生産量からすると、シングルモルトの占める割合は1割程度。生産の大半を占めるのは「ブレンデッド」のウイスキーである。

 
シングルモルトとは、単一の蒸留所で造られたモルトウイスキー(モルト原酒)のみを瓶詰めしたもの。通常は、同一蒸留所内の原酒を複数混ぜて“蔵の味”を出している。これに対し、一つの樽の原酒だけを瓶詰めしたものを「シングルカスク」という。

 
ワインやコーヒーのマニアックな愛好家が「単一畑」や「シングルオリジン」を指向するように、ウイスキーラバーのなかにもシングルモルト、シングルカスクを珍重する人がいる。

 
ブレンデッドは、複数の蒸留所で造られたモルト原酒とグレーン原酒を数種類から、多い場合には数十種類もブレンドし、それを瓶詰めしたもの。ジョニーウォーカーもシーバスリーガルもサントリーオールドも、有名銘柄の大半はブレンデッドだ。

 
ブレンデッドはブレンダーの職人技によって、常に高いレベルで「銘柄らしい味わい」が保たれる。バランスがよく、飲み飽きしないものが多いことが特徴。

 
上記2つのタイプのほかに、以下のようなタイプがある。

 
・シングルグレーン
単一の蒸留所で造られたグレーンウイスキーだけを瓶詰めしたもの。

 
・ブレンデッドグレーン
複数の蒸留所のグレーンウイスキーをブレンドして瓶詰めしたもの。

 
・ブレンデッドモルト(ヴァッテッドモルト)
複数の蒸留所のモルトウイスキーをブレンドして瓶詰めしたもの。

 
参考までにサントリーの銘柄を例に、各タイプのウイスキーを列挙すると以下のようになる。

 
・シングルモルト:山崎、白州
・ブレンデッド:響、ローヤル、スペシャルリザーブ、オールド、角瓶、ホワイト、トリス、レッド
・シングルグレーン:知多

 

世界の5大ウイスキー

 
スコッチウイスキー、アイリッシュウイスキー、アメリカンウイスキー、カナディアンウイスキー、ジャパニーズウイスキーの5つが世界を代表するウイスキーである。

 

スコッチウイスキー

 
「スコッチ」という言葉がウイスキーの代名詞となっているように、スコッチウイスキーはその歴史において、また技術と品質において、ウイスキー世界の覇者である。

 
5~6世紀ごろアイルランドの修道士が蒸留技術を地中海地方から持ち帰り、その技術をスコットランドに伝えた。この逸話がウイスキー誕生の起源とされるが、記述が残っているわけではない。

 
スコッチウイスキーに関する最古の記録は1494年、スコットランド財務部の記録である。当時のウイスキーはまだ粗野な味わいのスピリッツに過ぎなかった。

 
熟成という手法が出てくるのは18世紀のこと。イングランドの圧政・重税から逃れるため、スコットランドの人々はウイスキーを樽に入れ、人目につかない場所に隠した。この窮余の策が、樽熟成という魔法の技術をウイスキーにもたらしたのだ。

 
18世紀半ば、連続式蒸留器が登場し、グレーンウイスキーが大量生産できるようになると、モルトウイスキーとグレーンウイスキーを混ぜた飲みやすいブレンデッドウイスキーが造られるようになり、これが瞬く間に評判となって、1900年代前後にはスコッチが「蒸留酒の王」の座についた。

 
スコットランドは「ウイスキーの聖地」と呼ばれ、日本のウイスキー産業がお手本にしたのもスコッチウイスキーだった。

 
法律によってスコッチウイスキーの定義が細かく定められている。その一部を紹介しよう。

 
・水とイースト菌と大麦麦芽のみを原料とすること(麦芽以外の穀物も使用可)
・アルコール度数94.8%以下で蒸留すること
・容量700リットル以下のオーク樽に詰め、スコットランド国内の保税倉庫で3年以上熟成させること
・瓶詰めの際の最低アルコール度数は40%

 
現在スコットランドには130以上の蒸留所がある。主な生産地は以下の6つ。代表的な銘柄も挙げておこう。

 

スペイサイド

スコットランド最大の生産地。華やかな香りとバランスの取れた味わいに特徴がある。
主な銘柄:マッカラン、グレンフィディック

 

ハイランド

個性派の蒸留所が集まる。あえて特徴を挙げるなら、まろやかで落ち着いた味わい。スコットランドの蒸留所の1/3がハイランドにある。

 
主な銘柄:グレンモーレンジィ、ダルモア

 

ローランド

気候が比較的穏やかで、飲みやすくデリケートな味わいのウイスキーが多い。

 
主な銘柄:オーヘントッシャン、グレンキンチー

 

アイラ

現在稼働している蒸留所は9つ。独特の潮の香り、強いピート香や燻製香を持つ。マニアックなファンが多い。

 
主な銘柄:ラフロイグ、ボウモア

 

アイランズ

アイラ島を除くスコットランド北西の島々。スカイ島、オークニー諸島などのウイスキー。島ごとの個性を楽しめる。

 
主な銘柄:タリスカー、ハイランドパーク

 

キャンベルタウン

現在は3つの蒸留所が残るのみだが、かつては30を超える蒸留所があり「ウイスキーの首都」の異名を取ったことも。ブリニーと呼ばれる塩辛い風味が特徴的。

 
主な銘柄:スプリングバンク、グレンスコシア

 

アイリッシュウイスキー

 
1172年、イングランド王ヘンリー2世がアイルランドに侵攻した際の記録に蒸留酒「ウスケボー(ゲール語で命の水の意味)」の記述があったとの言い伝えがある(文書としては残っていない)。これを根拠に、アイルランドではスコットランドよりも早くウイスキーが造られていたと主張する人がいる。

 
いずれにせよ、10世紀ごろにはアイルランドで大麦を原料とした蒸留酒が飲まれていたようだ。アイリッシュウイスキーの全盛期は19世紀後半から20世紀にかけて。当時の世界のウイスキーのシェアの60%をアイリッシュが占めていたというから、「王」であるはずのスコットランドもタジタジであった。

 
しかし、アイルランド独立戦争やアメリカの禁酒法の影響などで、アイリッシュウイスキーは凋落してしまう。最盛期には200軒ともいわれた蒸留所の数は1980年代には2つだけになってしまった。

 
そして現在、アイリッシュウイスキーは劇的な復興の途上にある。続々と新しい蒸留所が立ち上がり、その数は40に迫っている。

 
アイリッシュウイスキーの定義の一部を紹介しよう。

 
・穀物類を原料とすること
・大麦麦芽に含まれる酵素によって糖化すること
・アルコール度数は94.8%以下で蒸留すること
・容量700リットルを超えない木製の樽に詰め、アイルランドまたは北アイルランドの倉庫で3年以上熟成させること

 
アイリッシュウイスキー独特のタイプに「ポットスチルウイスキー」がある。これは、大麦麦芽だけでなく未発芽麦芽とその他の穀物を混ぜて原料とし、単式蒸留器で2~3回蒸留して造るもので、麦芽の乾燥にピートを使わないことも特徴。

 
「アイリッシュウイスキーはクセがなく飲みやすい」といわれるのはこのポットスチルウイスキーの味わいによるもの。ポットスチルウイスキー、モルトウイスキー、グレーンウイスキーを自由に混和することにより、さまざまなウイスキーを造ることができるのがアイリッシュウイスキーの強みだ。

 
主な銘柄:ブッシュミルズ、カネマラ、ジェムソン、ティーリング、タラモアデュー、パディ

 

アメリカンウイスキー

 
スコットランドやアイルランドからアメリカに渡った移民が18世紀ごろからウイスキーを造り始めた。その後、アメリカで独自の進化を遂げ、現在の形になっている。バーボンウイスキー、ライウイスキー、ホイートウイスキー、モルトウイスキー、ライモルトウイスキー、コーンウイスキー、ブレンデッドウイスキーの7種が主なタイプで、それぞれに細かな定義がある。

 
代表格のバーボンウイスキーを例に説明を続けよう。

 
まず原料だが、バーボンは原料の51%以上がトウモロコシでなくてはならない。ウイスキーの仕込み水は軟水がよいとされているが、バーボンでは弱アルカリ性の硬水が用いられる。

 
糖化や発酵に不向きな弱アルカリ水のpHを調整するために、蒸留の際に出る酸度の高い廃液を加える「サワーマッシュ」が行われる。これはバーボン独自の方式である。

 
熟成に新樽を使うのもバーボンの大きな特徴。スコッチやアイリッシュではまず新樽は使わない。バーボンの熟成には内側を焦がした新樽が使われ、それに起因するバニラ香、トースト香、甘みがバーボンの魅力となっている。

 
ケンタッキー州のケンタッキーバーボンとテネシー州で造られるテネシーウイスキーがバーボンの双璧である。

 
主な銘柄:ジャックダニエル、ワイルドターキー、フォアローゼズ、メーカーズマーク、I.W.ハーパー、ジムビーム

 
また2010年以降、クラフト蒸留所が次々と誕生している。現在その数は約2,000ともいわれる。

 
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カナディアンウイスキー

 
カナダにおけるウイスキー造りが始まったのは18世紀。アメリカから移ってきたイギリス系移民によってだった。アメリカで禁酒法が施行された時代にはカナダから大量のウイスキーがアメリカに輸出され、カナディアンウイスキー業界は大きな富を得た。

 
カナディアンウイスキーの原酒にはアメリカのバーボンに近い「フレーバリングウイスキー」とクセのないニュートラルな味わいの「ベースウイスキー」の2タイプがあり、この2つをブレンドしたものがカナディアンブレンデッドウイスキーとなる。5大ウイスキーのなかで最も酒質が軽いのが特徴。

 
主な銘柄:カナディアンクラブ、クラウンローヤル、アルバータプレミアム

 
カナダでもクラフト蒸留所が林立し、ブームとなっている。

 

ジャパニーズウイスキー

 
今や人気銘柄は発売と同時に完売してしまうほど大きなブームとなっているジャパニーズウイスキー。国際的なコンクールでの受賞も多く、オークションでも高額で取り引きされるなど、名実ともに世界の5大ウイスキーの欠くべからざる主力の座を占めている。

 
日本で初めて本格的なウイスキー蒸留所が作られたのは1923年のサントリー山崎蒸留所であった。それに先立って、竹鶴政孝がスコットランドに渡り、本場の技術を持ち帰って「日本のウイスキーの父」となった経緯は、2014年に放送されたNHK連続テレビ小説『マッサン』の題材となった。

 
長らく、サントリー、ニッカ、キリンの“ビッグスリー”による寡占状態が続き、ウイスキーの売れない低迷期もあったが、2008年にサントリーが仕掛けた「角ハイボール」がヒットし、一気にウイスキーブームが巻き起こった。

 
同年にベンチャーウイスキーが秩父蒸留所を開いている。同社のイチローズモルトが世界的に脚光を浴びたのを端緒にクラフト蒸留所ブームが勃発。細々と副業的にウイスキー造りを続けていた焼酎蔵も息を吹き返し、また異業種からの参入による蒸留所も続々と生まれた。現在45社前後が稼働している。

 
2021年4月には、日本洋酒酒造組合が定めた「ジャパニーズウイスキーの定義」の運用が始まり、その価値をさらに高めようとしている。多様な自然環境、丁寧なものづくりの姿勢、酒や焼酎の生産で培った日本独自の技術などによって、今後ますます高品質のウイスキーが日本から生まれることが期待されている。

 

そのほかの国や地域のウイスキー

 
5大ウイスキーに追随する産地として、インド、台湾がまず挙げられる。

 
インドは知られざる一大ウイスキー生産国であり一大消費国でもある。大半はモラセスと呼ばれる発酵廃棄糖蜜を蒸留したものにモルトウイスキーを混合したものだが、近年になって、世界基準に合致したシングルモルトが造られるようになった。2004年リリースの「アムルット」がその代表。

 
台湾では2006年に「カバラン」が登場し、一気にタイワニーズウイスキーが脚光を浴びるようになった。2020年7月、東京ウイスキー&スピリッツコンペティション2020で、世界から出品された128本のシングルモルトのなかから同社のウイスキーが第1位に輝いた。

 
ウイスキーは冷涼な気候の土地で造るものというこれまでの常識を見事に打ち砕き、ウイスキー界全体の可能性を広げている。

 
そのほか、北欧各国、ブラジル、オーストラリア、ニュージーランドでもウイスキーが造られ、すでにクオリティーの高いものが出てきている。

 

ウイスキー選びのポイントは?

 
まずは産地ごとの大まかな特徴を既述の説明からつかんでほしい。次に自分がどのようにウイスキーを楽しみたいかを把握しよう。つまり、シングルモルトの個性を楽しみたいのか、ブレンデッドで定番の王道的な味わいを楽しみたいのかということ。

 
飲んだことのないウイスキーの味わいをラベルやWebサイトの商品説明から類推するために、以下の違いがポイントになるので覚えておくといい。

 

熟成年数の違い

熟成年数が長いほど、酒質はまろやかになり、味わいの要素が渾然と溶け込んでシームレスになる。当然、熟成年数は価格にも反映される。

 

熟成樽による違い

バーボン樽はニュートラル、シェリー樽には華やかな香りがある。ポート樽は甘くコクのある味わいに。複数種類の樽で熟成された原酒をブレンドするのが一般的だが、どの要素が強調されているかでブレンダーの狙いが窺い知れる。

 

ピートかノンピートか

ウイスキー独特の燻した香りの元であるピート。このフレーバーを付けるかどうかでウイスキーのタイプは大きく異なる。

 

飲んでおきたいアイテム6本

広くて深いウイスキーの世界の扉を開け、大まかな羅針盤を得るためにまず飲んでほしいアイテムを挙げる。

 

ザ・マッカラン シェリーオーク12年(シングルモルト)

▲出典:サントリーURL

 
ザ・マッカランはスコットランドを代表するスペイサイド地区の蒸留所。シェリー樽由来の甘い香り、ジンジャーやドライフルーツのトーンも。700ml、税込希望小売価格:9,990円。

 

バランタイン 17年(ブレンデッド)

▲出典:サントリーURL

 
ブレンデッド・スコッチの代名詞的な存在。40種類以上の原酒をブレンド、まろやかで気品の感じられる口当たり。700ml、税込希望小売価格:9,900円。

 

ブッシュミルズ シングルモルト10年

▲出典:アサヒビールURL

 
ブッシュミルズは1608年創業説もあるアイリッシュウイスキー最古の蒸留所の一つ。伝統の3回蒸留を守り、モルト原酒の原料にはノンピート麦芽を使用することで、軽やかでスムースな口当たりにしている。このシングルモルトはハチミツやバニラの甘い香りが特徴的。700ml、税込参考小売価格:3,950円。

 

ジャック ダニエル ブラック(Old No.7)

▲出典:アサヒビールURL

 
ケンタッキー州のバーボンの向こうを張って、テネシー州では「テネシーウイスキー」という言い方を好む(法律上の分類は「バーボンウイスキー」だが、それを名乗る義務はない)。

 
ジャックダニエルがユニークなのは、蒸留したてのウイスキーを、楓の木炭を敷き詰めた濾過槽に垂らしていく「チャコール・メローイング製法」を採用していること。これにより、ウイスキーはまろやかな味わいになる。700ml、税込参考小売価格:2,805円。

 

カナディアンクラブ

▲出典:サントリーURL

 
ブレンデッドカナディアンウイスキーの真骨頂。すっきりとした飲み口と、ほのかに香る甘みで、バーボンにもスコッチにもない新たなスタイルを創出した。ソーダやジンジャーエールと割って、気軽に飲みたい。700ml、税込希望小売価格:1,683円。

 

サントリー シングルモルトウイスキー 白州 

▲出典:サントリーURL

 
白州蒸溜所のある山梨県北杜市の自然を素直に表現。サントリーのブレンド技術の粋に触れることができる。森の若葉を思わせるみずみずしく爽やかな香りがある。700ml、税込希望小売価格:4,950円。

 

味わいと楽しさが広がる飲み方いろいろ

 
日本ほどさまざまな方法でウイスキーが飲まれている国はないといわれている。一昔前に最もポピュラーだった水割りや近年のウイスキーブームの発端になったハイボールは、強いお酒に馴染まない日本人の体質的特徴に合致して広まったといっていいだろう。

 
さらに、世界標準では「蒸留酒は食後に飲むもの」であるのに対し、蒸留酒を食中酒として「食事と共に飲む」文化がもともと根付いていた日本だからこそ、定着した飲み方だった。

 
飲み方が違えば、当然ウイスキーの味わいも変わる。つまり同じ銘柄を2倍、3倍にも楽しむことができるということ。どんな場面で飲むか? あわせる食事やつまみは何か? 気分や体調に合う飲み方は?

 
飲み方の種類とそれぞれの特徴を知っておくと、ウイスキーの世界がさらに広がり、飲む楽しみが増すだろう。

 

ストレート

小ぶりのグラスにウイスキーを注ぎ、ウイスキーとチェイサーを交互に飲みながら、じっくりと楽しむ。「喉で味わう」ことが重要。

 
グラスは、ワイングラスを小さくしたような形の口のすぼまった脚付きのグラスがおすすめ。ウイスキー本来の香りを最大限に楽しめる。つまみはナッツやドライフルーツ、チョコレートなどが合う。

 

オンザロック

オンザロックの主な目的はウイスキーを冷やすことだ。が、“副産物”として、氷の美しい姿、グラスの中で氷が立てるカランという音が加味される。ぜひ上等なグラスを使いたい。

 
グラスに大きめの氷を2、3個入れ、グラスの半分くらいまでウイスキーを注ぐ。軽くステアして、ウイスキーと氷を馴染ませる。ストレートと同様に、ウイスキー自体を楽しむ飲み方といえる。

 

トワイスアップ

グラスにウイスキーを注いでから、同量のミネラルウォーターを注ぎ、ステアして飲む。実はブレンダーは通常、ウイスキーをアルコール度数20%程度に希釈したものでテイスティングを行う。そのくらいの濃度が一番そのウイスキーの香味の特徴を把握しやすいのだ。

 
市販されているウイスキーのアルコール度数は40~43%。つまりこの飲み方は、プロのテイスティングの際の飲み方と同じ。グラスはワイングラスのように口がすぼまったものがよい。混ぜる水は常温が基本。加工肉や魚介類の燻製、肉料理などにあわせることができる。

 

ハーフロック

氷を入れたグラスにウイスキーとミネラルウォーターを1:1の割合で注ぎ、ステアして飲む。つまり前出のトワイスアップに氷が加わった飲み方である。ウイスキーの香りと味をマイルドに引き出して楽しめる。

 
トワイスアップと同様に加工肉や魚介類の燻製、肉料理などにあわせることができる。

 

ハイボール

時と場所を選ばず、また和・洋・中・エスニックなど、さまざまな食事にあわせることができる、ウイスキーのソーダ割り。ウイスキー1に対してソーダ3~4が一般的な比率だが、自分の好みやウイスキー銘柄ごとの“黄金比率”を見つけてほしい。

 
クラッシュドアイスでグラスを満たし、そこにウイスキーとソーダを注いで泡が消えない程度に軽くステアするのが一般的な作り方だが、氷が溶けることによって中身の味が薄くなるのを防ぐために、グラスもウイスキーもソーダもよく冷やしておいて、氷はなしで作る方法もある。またレモンやライム、ミントを添えて、カクテルとして供する店もある。

 

お湯割り

 
お酒を温めて飲むのは日本独特の習慣といわれている。水割りに比べ、ウイスキー比率が低くても香りがよく立ち、味わいもよく感じられる。ウイスキーとお湯の比率は1:2から1:4程度が望ましい。お湯の温度は80℃が目安。好みでレモンピールやシナモンなどのスパイスを加える。

 

水割り

1950年代に始まる高度経済成長期には、スナックやバーにウイスキーのマイボトルをキープし、水割りで飲むのが大流行した。

 
グラスにたっぷりと氷を入れ、ウイスキーを注いでステアする。そこにミネラルウォーターを加え、再びステア。水の量はウイスキーの2倍から2.5倍が目安。

 
水割りは、割り水の質によって味が大きく変わってしまう。割り水は硬度の低い軟水が望ましい。硬水だと苦味が立ってしまう。食中酒としてさまざまな料理にあわせることができる。

 

ミスト

ミストは「霧」。グラスの外面に白い結露が付き、冷涼感がある。オンザロックよりもさらに冷えていることが特徴。

 
グラスにクラッシュドアイスをたっぷり入れ、30~45mlのウイスキーを注ぐ。マドラーでしっかりと混ぜる。レモンピールを搾りかけ、レモンはこのままグラスの中に。

 

ウイスキーフロート

ウイスキーを水に浮かべる(フロート)飲み方。一口ごとに変化する香りや味わいが楽しめ、ウイスキーと水が二層になって見た目にも美しい。

 
グラスに氷を入れ、水を7分目まで注ぐ。そこにウイスキーを静かに、マドラーに沿わせながら注ぐ。混ぜないで飲む。

 
ウイスキーベースのカクテルレシピや、グラスの選び方についてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてほしい。

 

ウイスキーの美味しい飲み方を徹底解説!甘くて飲みやすいカクテルレシピも

 

奥深いウイスキーの世界を多様に楽しみたい

親しみやすいものからマニアックなものまで、タイプも価格帯もさまざまなウイスキー。近年は世界的なクラフト蒸留所ブームでさらにその幅が広がっている。まずは自分の好みの味わいを見つけることから始めてみてほしい。

 
 

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