今日もJALグループの翼をご利用いただきまして、誠にありがとうございます。今回は、私たちパイロットが飛行中に行うさまざまなコミュニケーションについてお話ししたいと思います。
まずは、右席に着座している副操縦士との会話です。離着陸時や低高度では、決められた手順や用語を用いて飛行に関わる必要最低限の会話をします。そのほかの場面では目的地に向けどのように飛行し、進入および着陸するのかを適宜話し合い、安全かつ快適なフライトをお届けできるよう常にベストを尽くしています。特に、さまざまな事象を想定し、対処法まで共通認識を持つことはとても大切であり、これが阿吽(あうん)の呼吸で操縦することにつながります。
次に航空管制官との会話です。無線を使っての交信は、基本的に操縦を担当していないパイロットが行います。飛行している空域により交信する周波数が変わり、さまざまな管制官と決められた用語を用いて会話します。悪天候時や空域が混雑している場合は、ひっきりなしに管制官と会話をするため、交信するタイミングや自機(便名)が呼ばれていることを聞き逃さないよう、特に注意を払います。不思議なもので副操縦士になる頃には、皆どんなに違う作業をしていても呼ばれたら反応し、対応できるようになります。
続いて客室乗務員との会話です。地上でのブリーフィングに加え、フライト中には到着予定時刻や使用滑走路、揺れの状況などの情報を共有します。また、客室の状況についても適宜情報をもらっており、まさに安全運航において欠かせない存在です。
最後に、各空港の担当者や運航管理者との会話です。最新の揺れの情報や雨雲の動きなどを聞き、状況に応じ経路の変更や進入方式の変更を行います。自然を相手にするということは、常に状況が変化するということでもあり、最新の情報を提供してもらうことで、最良で最善の判断をすることができます。
また、天候だけでなくシステム上、何か助言を得たり、問い合わせを行ったりするときは、直接整備士に連絡を取ることもあります。もちろん、我々パイロットはシステムについてすべて把握していますが、よりメカニックな内容や整備側の判断を仰ぐことは運航する上で不可欠です。
皆さまとは直接会話はできないものの、安心して空の旅をお楽しみいただけるよう、機内アナウンスでは感謝の気持ちをお伝えできるよう心掛けています。本日ご搭乗の便のパイロットも、さまざまなコミュニケーションを図りながら、より安全で快適な空の旅をご提供できるよう努めています。引き続き、どうぞごゆっくり空の旅をお楽しみください。またのご搭乗を、心よりお待ちしております。
渡邉 浩径 Watanabe Hiromichi
J-AIR
エンブラエル170/190型機 機長
出身地:千葉県
趣味・特技:バスケットボール、旅行
座右の銘:一生懸命
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