旅への扉

ロンドン 高架下で待ち合わせ [Vol.4]

文・撮影/山内ミキ

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「もの作り」を通じて求心力を発揮する若者たちが、一世代を担うようになってきた。効率のよい生産性ではなく、環境や倫理に基づいた商品開発を行う。小ロットで受注できる今、素材選びからブランディングまで、手掛けることができるようになったのも追い風となった。食品、実用品、サービス業に至るまでインターネットで発信し流通させる。それは、過去100年で構築された生産と流通の飽和状態にレッドカードを示すと共に、手を使って何かを生み出す、という人間の回帰的欲求を満たしているようにも見える。

 
「ロケーション、ロケーション、ロケーション」とは、一にも二にも立地が大切、という意味で使われる言葉だ。運河沿いの元石炭倉庫を改装し、ショップとレストラン、オフィスの融合施設「ザ・コール・オフィス」をオープンしたプロダクト・デザイナーのトム・ディクソンさんに話を伺った。

 

相反する要素の均衡に遊ぶ街

interior design

▲ショップ内には数々の家具や照明器具などが並ぶ。

 
2015年にロンドン以外で初の路面店を東京にオープンし、昨年はロンドンの旗艦店をリロケーションした。引っ越し先は、奇しくも引っ越し前と同じ運河沿いにある、アーチ構造を有する建造物に。アーチで区切られた細長い空間には、石とガラスをあわせた食器、マットな黒に煌めく金が裏打ちされたランプなどが、レンガの壁に輪郭を際立たせている。連続するアーチを見透かすと、伝統と現代、陰と陽、レンガと金属といったコントラストが運河の水面のさざめきを捉え、興をそそる。

 
restaurant

▲左/レストラン内もモダンなデザイン。右/焼きなすのサラダには、プロポリスの入ったトッピングを潰して振りかける。

 
「堅実な美しさがあるヴィクトリア時代の基幹施設と、現代の造形物は取り合わせの妙がある。偶然にも同じような場所に落ち着いたのは運命なのかもしれないね」とトムさん。続けて「僕の好きな材質は粘土とロンドン製のレンガ。だからこういう場には着想の源があるね。特に、激変する街のど真ん中で、歴史と現代が背景を分かち合っているこの場所に」とも。

 
ユーロスターの玄関口となって以来、開発が進むキングス・クロス駅周辺は、今ロンドンで一番変貌の著しい地域。驚くことが待ち構えているかもしれない。街角を曲がる度に、そしてアーチをくぐる度に。

 
office

▲左/「ザ・コール・オフィス」外観。右/再開発で新設された遊歩道や、運河沿いの休憩スペースに人々が集う。

 

 

Information about London

ザ・コール・オフィス The Coal Office
電話:44-20-3848-6085
住所:2 Bagley Walk, Kings Cross, London
営業時間:ショップ10:00〜20:00(月〜土)/11:00〜17:00(日)、レストラン12:00〜15:30/17:30〜23:00(月〜金)、10:00〜16:00/17:30〜23:00(土・日)
URL:www.tomdixon.net

 
 

テムズ川に浮かぶ水上ホテル

グッド・ホテル・ロンドン Good Hotel London
goodhotellondon
市街の喧騒から離れ、ゆっくりと寛げる空間は、モダンでスタイリッシュな内装。駅も近く、ロンドン市内の観光にも最適。非営利団体が経営しているホテルなので、泊まっただけで社会貢献になる。
電話:44-20-3637-7401
住所:Western Gateway, Royal Victoria Dock, London
URL:www.goodhotellondon.com

 
〇コーディネーション:桑山美由紀

 

ロンドンへのアクセス

東京(羽田)より直行便が、東京(羽田、成田)よりコードシェア便がヒースロー国際空港へ毎日運航。

 

(SKYWARD2019年2月号掲載)
※記載の情報は2019年2月現在のものであり、実際の情報とは異なる場合がございます。掲載された内容による損害等については、一切の責任を負いかねますのでご了承ください。

 
 

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