火をおこし、眺めたり、使ったりすることはキャンプの醍醐味だ。昨今のアウトドアブームで関心が高まっているのが「焚き火台」である。
この記事では、キャンプ初心者に向け、
・焚き火台とは何か?
・選ぶときのポイント
・おすすめの焚き火台
について詳述する。
目次
焚き火台とは何か?
焚き火台とは薪をのせて「焚き火」をする「台」のこと。その発祥は1996年、日本のアウトドアグッズメーカーのスノーピークが発売した商品とされている。それまでは、地面で直接焚き火をおこしたり、脚の長いバーベキュー台を使ったりすることがもっぱらだった。
焚き火台が誕生し、一気に普及した背景には、地面にダメージを残さぬようにとの配慮と、チェアやラグを使ったロースタイルでのキャンプの流行があるようだ。現在では、焚き火台を使用した焚き火しか認められていないキャンプ場も多く、焚き火台はキャンパーの必携品となっている。
また、一人で出かける「ソロキャンプ」の流行によって、かなりの小型でポータブル性に優れた焚き火台も登場している。少し調べてみると、素材やデザイン性も含め、バリエーション豊かになっていることに驚くだろう。
選ぶときの着眼点を知ろう
焚き火台のバリエーションは多い。それぞれの用途と機能を知ることで、自分のキャンプスタイルに合った、間違いのない焚き火台を選ぶことができる。選ぶ際のポイントを見ていこう。
ただ火を眺めるか、調理にも使うか
まず大きく分かれるのが、焚き火台の用途。火を眺めるためだけに使うのか?その火を利用して調理をしようとしているのか?お湯を沸かす程度ならどの焚き火台でも可能だが、重い鍋を(それも複数)使って料理するつもりなら、それなりのサイズと強度が必要になる。
商品によっては、バーベキュー用の焼き網や、鍋をのせるための五徳付きのものもあるので、調理を前提に考えているなら、この辺りの付属品も選ぶポイントとなる。
参加人数によってサイズを検討
さらに、焚き火台のサイズを決めるときにポイントとなるのがキャンプの参加人数である。一般に販売されている薪のサイズは長さが30~40cmであることを頭に入れておくといいだろう。いくつも鍋をのせて調理することができる大型の焚き火台なら薪が余裕でのる。
一方、火を眺めることが主目的の焚き火台で、あわせて使える調理器具は小鍋程度に限られるものだと、薪が焚き火台の本体(燃焼台)を占める感じになる。薪をカットしないと入らないような小型の焚き火台だと、火をおこすまでに薪割りの一手間が増えるので注意が必要だ。さらにコンパクトなものでは小枝程度しか使えないものもある。
移動手段によって重量を考えよう
また重要なのが、持ち運びが楽かどうかという点。キャンプ場へ向かう交通手段が、車かバイクか徒歩(人力のみ)かで、運べる焚き火台のサイズや重量も当然変わってくる。車で移動するなら、重く大きくても構わないが、徒歩や公共交通機関での移動となると、選択肢は軽便なものに限られる。
見逃しがちなのが、組み立てやすさ、使用後の掃除のしやすさ。繰り返し使うことを思うと、これらは意外と重要なファクターと言える。また、収納時にコンパクトに折り畳める/分解できるものは、省スペースのための心強い味方になる。
焚き火台のおすすめ8選!ソロからファミリーまで
焚き火台の機能、長所と短所はその形状に現れる。それでは実際の商品を見ながら、それぞれの特徴をつかんでほしい。
スノーピーク 焚火台 L[3-4人用]
スノーピークは新潟・三条市に本社を置くアウトドア総合メーカー。1958年創業。この商品は焚き火台が誕生するきっかけとなったスノーピークの代表的アイテム。
逆四角錐のシンプルな形状で、開いて置くだけと設営も楽々。3~4人用だが、人数が少なくてもLサイズの火の存在感を満喫することができる。オプションで、焚き火調理用グリルブリッジや焼き網、鉄板なども販売している。
サイズ:展開時455×455×315mm、収納時560×640×32mm
重さ:5.5kg
素材:ステンレス
税込価格:17,160円
同梱品:収納ケース
ユニフレーム ファイアグリル
新潟・燕市で1985年に創設されたアウトドア用品メーカー。この焚き火台は、調理の利便性を念頭に置いて設計されている。ファミリーキャンプにちょうどいいサイズで価格もリーズナブル。
網を45度ずらしてファイアグリルにセットする構造で、四隅に空きができ、そこから炭の調整がしやすい。網のはみ出し部分は焼けた食材の保温スペースに使える。2.7kgと軽量でありながら、ダッチオーブンなど重量のある鍋も安心して置けるウェイトバランスと頑丈さも頼もしい。
サイズ:展開時430×430×330mm、収納時380×380×70mm
重さ:2.7kg
素材:ステンレス鋼(炉、ロストル)、鉄・クロームメッキ(スタンド、焼き網)
税込価格:7,500円
同梱品:ロストル、焼き網
コールマン ファイアーディスク(TM)
コールマンは1900年頃にアメリカで生まれた老舗キャンプ用品メーカー。オーバル形の魅力的なフォルムの燃焼皿が特徴の焚き火台は、薪を美しく組むことができ、炎をあらゆる角度から眺めることができる。
付属の焼き網は、炭の出し入れをしやすい形状になっており調理もノーストレス。耐荷重量約30kgでダッチオーブンにも対応。脚を出す/収納するだけの簡単設計で、設営も撤収もあっという間にできる。収納時の厚さはわずか10cmとコンパクトだ。
サイズ:展開時直径450×高さ230mm、収納時直径460×85mm
重さ:1.6kg
素材:ステンレス
税込価格:6,980円
同梱品:焼き網、収納ケース
DOD めちゃもえファイヤー
DODはウサギのロゴマークで知られる大阪発の個性派アウトドアブランド。この焚き火台は、独自の二層構造を持ち、通常の焚き火では見られない「二次燃焼」の炎が眺められることが特徴。
二次燃焼とは、一次燃焼で燃え切らなかった可燃性ガス(通常は煙となって排出)を燃焼させるもので、燃焼効率が高く(少ない薪で十分な炎が楽しめる)、煙が少ないというメリットがある。ただ薪に火をつけて燃やすのとは一味違う、こだわりのスタイルを仲間にもほかのキャンパーにもアピールすることができる。
40cm程度の市販の薪がぴったり収まる無駄のない設計。引き出し型のアッシュトレイで灰の片付けも楽ちんだ。美しい炎を「見る」ことに特化した焚き火台というのもオツなもの。
サイズ:展開時450×165×370mm、収納時450×190×250mm
重さ:7.7kg(付属品含む)
素材:ステンレススチール(本体)、スチール(テーブル)
税込参考価格:15,125円
同梱品:アッシュトレイ、ロストル、スチールテーブル、キャリーバッグ
LOGOS カマドラム
LOGOSは1985年に大阪で誕生したキャンプ用品メーカー。本格仕様ながら価格抑えめで、日本のアウトドア人口増加に貢献したとされる。この商品は、手間をかけずに焚き火、かまど調理、七輪の3ウエイで使用できる画期的な焚き火台。
かまどと七輪を使い分ければ、焼きものから煮込み料理まで多様な料理が可能で、キャンプ料理のバリエーションが格段に増える。設営も撤収もパーツを重ねるだけと簡単。キャンプのシーンにあわせてフル活用することができる。
サイズ:展開時305×305×250mm、収納時305×305×160mm
重さ:2.6kg
素材:亜鉛メッキ鋼板、スチール、ステンレス
税込価格:11,990円
同梱品:灰受け、収納バッグ
Sherry’s 焚き火台「B-1」
東京・葛飾区の町工場「永島製作所」が“下町の技術力”を発揮して開発した焚き火台。サイズを4パターンに変えることができるので、用途によってジャストサイズでの使用が可能に。
6枚のプレートで構成されているが、分解するとA4サイズになるのでコンパクトに収納することができ、小脇に抱えて持ち運ぶこともできる。またプレート部分は半分にすると、キャンドル立てとしても使える(アロマキャンドルや虫除けに)。クラウドファンディング商品で、一般販売は8月下旬の予定。
乗富鉄工所 ヨコナガメッシュタキビダイ
福岡県で川などの水門を手掛ける「乗富鉄工所」が、水門と同レベルのハイグレードステンレスを使った焚き火台を手掛けた。「SUS304」という、錆に強く、強度に優れたステンレスを使用している。
BOX型のメッシュ式焚火台の上に、専用メッシュシートを載せることで高い燃焼性能を実現。このメッシュシートにも0.2mmというやや太めのSUS304ステンレス線を使用した。大きな薪もきれいに灰にできるこの焚き火台、組み立ても簡単で、持ち運びも便利。
ナチュラルシーズン ステンレス焚き火ストーブ
ホームセンター「コメリ」のオリジナルブランド「Natural Season(ナチュラルシーズン)」から、二次燃焼ストーブ「ステンレス焚き火ストーブ」が発売されている。
焚き火台のなかでも「二次燃焼ストーブ」は少ない薪で火力を得られ、煙が少ないと話題。着火もしやすく初心者にも安心だ。サイズはソロ用のほか、写真のレギュラー、マックスの3種類。
焚き火の基本を押さえておこう
焚き火はテントやタープなどから離れた場所で行う。キャンプサイトでは最も風下の場所を選ぶ。草や木が茂る所のそばは避ける。近くに可燃性のもの(キャンプ用品、チェアなど)を置かない。突風が吹いても、炎が何かに引火しないよう細心の配慮が必要だ。
既に述べたとおり、最近のキャンプサイトでは焚き火台の使用を義務付けている所が多いが、たとえ焚き火台を使う場合でも芝生の上などは避けるのがマナー。
焚き火をおこすポイントをおさらい
火をおこすのは思ったよりも難しいもの。ポイントは、「小さな炎から大きな炎へ」だ。焚き火台の本体や燃焼皿の中心に着火剤や新聞紙を置く。その上に、小枝や細目の薪を組んで着火剤部分に火をつける。
新聞紙は固く丸めると燃えにくいので軽く丸める程度に。着火剤や新聞紙がないときは油分の多い松や杉の枝、枯れ葉、木の皮や松ぼっくりなどが比較的燃えやすい。最初の火がしっかりと燃えたのを確認してから、中くらいの薪を、さらには大きめの薪をくべていくといい。
薪を組む際は、着火する付近の通気に気を配ること。薪や炭が密になっていると酸欠状態になって、せっかく燃え上がった火がすぐに消えてしまうことになる。薪同士の間隔が適度に空いた状態だと酸素が行き届くので炎が勢いよく燃える。
調理用には火力が安定している熾火(おきび)の状態がいい。炎が落ち着くのを待って、調理を始めるようにしよう。
焚き火は、自然に燃え尽きるのが理想の終え方だが、やむを得ないときは水を掛けて消火する。灰や燃え残りの薪はキャンプサイトのルールに従ってきちんと処理をすること。
火起こしをマスターしたい方は以下を参照。
火起こしの方法を解説|初心者向け簡単手順と必須道具、焚き火術
揃えておきたい、焚き火の必須道具5つ
1.柄の付いたライター
ビギナーに多いのが着火の際のやけど。柄の付いたライターや軸の長いマッチを使って、着火点や残り火から離れた所から点火するようにしたい。
2.着火剤/新聞紙など
ビギナーは、薪を組んで下から火をつければよいと考えがちだが、甘い。薪や炭に着火するのは至難の業だ。いったんついたと思ってもすぐに消えてしまうことも多々。ましてや、燃料が湿っていたり、環境がウェットな状態だったりする場合はなおさらのこと。着火剤や新聞紙、段ボールの切れ端などは薪や炭以上に大切なものと心得るべし。
3.軍手/耐火・耐熱グローブ
焚き火の炎はもちろん、焚き火台も調理器具も高熱を帯びる。素手はもってのほかであることは言うまでもない。最低でも軍手を(熱された金属などを持つと、軍手をしていてもやけどを負うことがある)。できるだけ耐火・耐熱素材のグローブを備えてほしい。
4.トング
調理にも薪や炭の移動にも役立つのがトング。ただし、火のそばで長時間使用すると、トング自体が熱を帯びてやけどの原因になるので要注意。
5.消火用バケツ
火を確実に消して、フィールドをもとの状態に戻すところまでやってようやく焚き火というアクティビティーが終わる。薪や炭に火をつける前に、バケツには水を入れておくこと。
焚き火以外のキャンプの持ち物についてはこちら
キャンプに必須の持ち物リスト完全版!あると便利なグッズも解説
キャンプのハイライトを美しく効果的に演出
火のないキャンプは味気ない。焚き火と焚き火調理はキャンプのハイライトだ。ここまで述べた解説を熟読し、おすすめの商品を比較検討して、あなたのキャンプスタイルに合致した最高の焚き火台を手に入れてほしい。後はフィールドを目指すだけ!
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