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生活防水とは?防水時計の性能表示の意味や注意点を解説

腕時計にとって水は大敵。けれども最近は、ぬれることを気にせずにアクティブに使えるタイプも増えている。「生活防水(日常生活用防水)」や「ダイバーズウォッチ」など、防水性能を謳(うた)う腕時計はたくさんあるけれど、どのようなシーンで使うことができるかなど、意外と知らないこともある。

 
この記事では

 
・防水性能表示について
・ぬれた時計のメンテナンスや注意点
・メンズ防水腕時計の定番おすすめモデル

 
について解説する。

 
腕時計の防水性能について知ることで、使用シーンにあった腕時計を選ぼう。

 

気圧?メートル?意外にわかりにくい防水性能表示について詳しく知ろう

防水性能は、JIS規格(日本工業規格:Japanese Industrial Standard)とISO規格(国際標準化機構規格:International Organization for Standardization)によって定められている。JISとISOでは、防水性能についての規格は基本的に同じと考えてよいが、表示方法が異なる場合があるので注意しよう。

 
JISでは、日常生活用の防水表示は「bar(気圧)」、潜水用の防水表示は「m(メートル)」で表示される。

 
海外ブランドの腕時計では、気圧だけの表示や、「bar」ではなく「atm」「m」「ft」などの表示もある。また日常生活用の防水表示でも「m」が用いられる場合もあるので、注意が必要だ。

 
腕時計の防水性能を知るためには、まず、文字盤や裏ぶたを見てみよう。ここに表示があることが多い。

 
例えば「WATER RESIST」「W.R.」などの表示があったなら、これは「WATER RESISTANT」の略記であり、日常生活用の防水性能が備わっていることを示している。そのほかに「AIR DIVER’S」「HE-GAS DIVER’S」など、潜水時計の表示もある。

 
これらの表示がない場合は「非防水」であり、水に触れないようにしなければならない。

 
防水性能の詳細は取扱説明書などでの確認が必要だが、腕時計本体の表示から読み取れる性能をさらに見ていこう。本記事ではJIS規格での防水性能を中心に解説していく。

 

2~3気圧防水(日常生活用防水)

「WATER RESIST」「W.R.」の表示がある場合は、2~3気圧防水の日常生活用防水時計。

 
JIS規格では「1種防水時計」と呼ばれ、雨や汗、洗顔などでかかる水滴程度なら耐えられることを示している。けれども、食器洗いなどの水仕事や、水上スポーツや素潜り、潜水などでは使用できない。

 
ちなみに「2~3気圧防水」とは「静止した状態で水深20~30mの水圧まで耐えられる」ことを意味しているが、これはあくまでも「静止した状態」の場合。水中で腕時計を身につけて動くと水圧がかかり、条件が大きく異なってしまうため、防水性能の範囲とはならない。

 

5気圧防水(日常生活用強化防水)

 
5気圧防水は「WATER RESIST 5BAR」「WATER 5BAR RESISTANT」「W.R.5BAR」などと表示される。

 
「日常生活用強化防水」「2種防水時計」とも呼ばれ、食器洗いなどの水仕事や、漁業や農業、洗車など水に触れることの多い作業、そして、水泳やヨット、釣りなど、深く潜らない水上スポーツでも使用することができる。とはいえ、水圧の強いシャワーや流水が直接当たらないよう注意が必要だ。

 

10気圧防水~20気圧防水(日常生活用強化防水)

 
10気圧防水~20気圧防水は「WATER RESIST 10(もしくは20 ※以下同)BAR」「WATER 10(20)BAR RESIST」「W.R.10(20)BAR」などと表示される。こちらも「日常生活用強化防水」「2種防水時計」のカテゴリーに含まれ、5気圧防水と同様の水上スポーツや水仕事で使用することができる。さらに、空気ボンベを使わないような素潜り(スキンダイビング)などでも使用することができる。

 

100m~200m防水(空気潜水用防水)

 
ここから「気圧」表示が「m」表示へと切り替わる。そして「生活防水」から「潜水用」へと特化していく。

 
100m~200m防水の機能を持つ時計は「空気潜水時計」「1種潜水時計」と呼ばれ、ボンベを使用するスキューバダイビングなどの潜水で使用することができる。

 
表示は「AIR DIVER’S(潜水に耐えられる水深の数値)m」など。例えば、100m防水の場合は「AIR DIVER’S 100m」となり、表示されている数値の水深での耐圧性と長時間の水中使用に耐えられることを示している。

 
100m防水以上は「ダイバーズウォッチ」とも呼ばれ「耐磁性能」「耐衝撃性能」や、潜水時間を測定するために必要な回転ベゼルなどを備えている。けれども、さらに深海で行う飽和潜水では使用することはできない。

 

200m~1,000m防水(飽和潜水用防水)

防水性能を持つ腕時計のなかでも最も高い機能を持つ、200m~1,000m防水は、「飽和潜水時計」「第2種潜水時計」と呼ばれ、深海でのダイビングでも耐えることができる。
「HE-GAS DIVER’S(潜水に耐えられる水深の数値)m」などと表示される。

 
深海に潜水する「飽和潜水」では、減圧症を防ぐために、あらかじめ加圧室で数日間過ごし、ヘリウムなどの不活性化ガスを体に吸収させ、飽和させてから潜水を行う。潜水終了後は、減圧しながら体を戻していくのだが、このときに腕時計の内部に入り込んだヘリウムガスを排出しなければならない。そのためにヘリウムを外へ出す仕組み「ヘリウムガスエスケープバルブ」や「減圧バルブ」などがついている。

 

10気圧防水と100m防水の違い

「10気圧」は「水深100m」相当のことなので、どちらも同じように見えるかもしれない。けれども同じ防水性能ではない可能性があるので注意が必要だ。

 
JIS規格での「10気圧」は「WATER RESIST 10」などと表示され、「日常生活用強化防水」(10気圧防水~20気圧防水)に相当するが、これは水深100mの水中で静止した状態での耐圧を指している。水中で身につけて動いたり、潜水する状態は想定されていない。

 
そして「100m防水」は潜水に使用することができ、「AIR DIVER’S 100m」「1種潜水時計」(100m~200m防水)と呼ばれる。なお水深100mは潜水可能なダイバーズウォッチの最低ラインでもある。

 
プールや海で軽く泳ぐ程度の「水上スポーツ」なら「10気圧」以上の腕時計が望ましいが、ダイビングなど潜水を伴う「水中スポーツ」は「100m防水」以上の腕時計が必要だ。

 

深海まで潜水できる、最高峰の性能を持つダイバーズウォッチ

腕時計ブランドの世界には、驚異的な防水性能を誇るダイバーズウォッチが存在する。水深3,000m超えのアイテムを紹介しよう。

 
ロレックスが誇るダイバーズウォッチ「ディープシー」はなんと3,900m防水。高い耐水圧を実現するための、ゴツくて厚いケースのデザインが人気。機械式腕時計では最高峰の防水性能といえるだろう。

 

ロレックス ディープシー

▲出典:ロレックスURL

 

素材:オイスター、オイスタースチール
直径:44mm
ムーブメント:機械式自動巻
税込参考価格:1,434,400円
耐水性:3,900m防水、ヘリウム排出バルブ

 
続いて、ドイツのSinn(ジン)のUXは5,000m防水!特殊なオイルを封入する独自のハイドロ・テクニックにより高い防水性能を実現した。ここまで超深海でのダイビングを予定している人はまれだと思うが、高性能で屈強なケースを持つダイバーズウォッチに惹かれてしまう人は多いはず。

 

UX(EZM2B)

▲出典:SINNURL

 

素材:Uボート・スチール、シリコンストラップ
直径:44mm
ムーブメント:クオーツ
税込参考価格:418,000円
耐水性:500気圧防水(ハイドロテクニックにより特殊オイル充填)

 

ぬれた際のメンテナンスや注意点について知ろう!

 
どんなに高い防水性能を備えた腕時計でも、間違った使い方をすると故障につながってしまう。潜水に特化したダイバーズウォッチだからこそ、日常生活での使用を想定していない場合もある。

 
防水性能を理解してメンテナンスすることで、大切な腕時計と長く付き合っていくことができる。お手入れ方法や気をつけたいポイントを細かく見ていこう。

 

ぬれた状態でリューズやボタンの操作をしない

ダイバーズウォッチであっても、水中での操作については使用説明書をよく読もう。特に注意が必要なのが、リューズやボタンの操作。水中ではもちろんだが、時計本体や指が濡れた状態で、リューズやボタンを操作してはいけない。時計内部に水が入ってしまうことがある。

 

海で使用した場合は、真水で洗って拭く。汚れや砂などにも注意

海で使用した後の腕時計には、塩分や雑菌などが大量に付着している。大切なのはすぐに「真水」で洗うこと。

 
ただし、シャワーや蛇口からの流水を直接当ててはいけない。実は流水の水圧は高く、時計内部に水が入ってしまう可能性がある。さらに腕時計は温度変化にも弱いので、お湯ではなく、水で洗おう。

 
水をためた容器などに入れて、砂や汚れを丁寧に取り除いた後は、乾いた布で拭き、直射日光の当たらない場所で自然乾燥させる。ドライヤーなどで熱を与えると故障につながることもあるので、こちらも注意。

 

防水でも入浴時は外そう。熱や温泉成分でパッキンや外装が劣化することも

 
腕時計の防水性能は、あくまでも「水」を基準にしている。そのため、「お湯」に入れてしまうことで、パッキンや金属部品などの外装が劣化してしまったり、故障の原因が生じてしまう恐れがある。温度変化や蒸気に弱いので、サウナも同様だ。さらに温泉では、お湯にさまざまな成分が含まれているため、腕時計に深刻なダメージを与えてしまう場合もある。入浴時は、必ず時計を外そう。

 

ダイバーズウォッチの電池交換などはメーカーに依頼しよう

 
ダイバーズウォッチは、ダイバーの命に関わる重要なアイテム。防水性の低下は命の危険に直結してしまうため、電池交換はメーカーに依頼し、再度防水性能保証を受ける必要がある。

 
本格的な潜水で使用していなくても、防水性が落ちてしまえば、故障につながってしまうため、電池交換やオーバーホールはメーカーに依頼することをおすすめする。

 
また、電池を使わない自動巻きの機械式や、ソーラー電池式のダイバーズウォッチという選択肢もある。

 
なお、腕時計のメンテナンスや、時計内部に水が入ってしまった場合の修理については、こちらの記事も参考にしてほしい。

 

大切な腕時計を修理するには?依頼先と症状別の費用相場を解説

 

メンズ防水腕時計、定番おすすめモデル7選

100m防水以上の防水性能を持つ腕時計のなかから、定番のおすすめモデルを紹介しよう。

 

カシオ G-SHOCK「MASTER OF G – SEA FROGMAN GWF-A1000C-1AJF」

▲出典:カシオURL

 

素材:カーボン/ステンレススチール、樹脂バンド
ケースサイズ:高さ56.7mm×幅53.3mm
ムーブメント:タフソーラー(ソーラー充電)
税込参考価格:132,000円
防水性能:ISO200m 潜水用防水

 
G-SHOCKの本格ダイバーズラインといえばFROGMANシリーズ。この2021年モデルは、タフさだけでなく、ソーラー充電や電波受信機能を備え、Bluetooth®でスマートフォンと連動までしてしまう、日本が誇るハイテクダイバーズウォッチだ。

 
水深200mまで対応のカーボンモノコックボディに、エクステンション機能を備えたコンポジットバンドを採用。ウェットスーツの上からでも、カジュアルシーンでも、常に快適な長さで使用できる。

 

セイコー「プロスペックス SBDY073」

▲出典:セイコーURL

 

素材:ステンレス、シリコンバンド
ケースサイズ:横43.2mm×縦44mm
ムーブメント:機械式自動巻き(手巻き付き)
税込参考価格:64,900円
防水性能:200m潜水用防水

 
リーズナブルな価格だが、200mの防水性能と、自動巻きのムーブメントを搭載した、本格ダイバーズウォッチだ。落ち着いたトーンのデザインも好感度が高く、普段使いでも様々なファッションに合わせやすい1本といえるだろう。

 
まったく同じデザインで、ケースサイズをひとまわり小ぶりにしたレディースモデル(税込参考価格:59,400円)も同時発売されているので、ぜひチェックしてみてほしい。

 

シチズン「プロマスター エコ・ドライブGPS衛星電波時計 ダイバー 200m」

▲出典:シチズンURL

 

素材:スーパーチタニウム™、ウレタン
直径:47mm
ムーブメント:光発電エコ・ドライブ(ソーラー充電)
税込参考価格:165,000円
防水性能:200m潜水用防水

 
シチズン独自の光発電「エコ・ドライブ機能」が備えられた、GPS衛星電波時計のダイバーズウォッチ。わずかな光を電気に変えることができるため、電池交換の必要がない。また、軽量でありながら傷に強い「スーパーチタニウム™」を使用しているため、アウトドアアクティビティーにもおすすめ。

 

ハミルトン「カーキ ネイビー Scuba Auto」

▲出典:ハミルトンURL

 

素材:ステンレススチール
直径:40mm
ムーブメント:機械式自動巻き
税込参考価格:92,400円
防水性能:10気圧防水

 
ハミルトンの「カーキ ネイビー Scuba Auto」は、ビーチから街まで対応可能な、スポーティーなデザインが魅力のコレクション。10気圧防水で、本格的な自動巻きながらも、価格は10万円以下だ。

 
40mmの小ぶりなフェイスなので、アウトドアだけでなくカジュアルシーンやビジネスシーンでも活躍するはず。大人の遊び心が感じられるビビッドな色使いを楽しんでほしい。

 

▲出典:ハミルトンURL

 

タグ・ホイヤー「アクアレーサー」

▲出典:タグ・ホイヤーURL

 

素材:スチール アルミニウム サテン/ポリッシュ仕上げ、ラバー
直径:43mm
ムーブメント:機械式自動巻き
税込参考価格:308,000円
防水性能:300m防水

 
タグ・ホイヤーのファッショナブルで高性能なダイビングウォッチ。300m防水と本格的なダイビングにも対応し、べっ甲風樹脂で覆われたベゼルやアリゲーター型押しラバーストラップも洗練されたデザインで人気。カジュアルからビジネスまで、さまざまなシーンで万能に活躍してくれるだろう。

 

オメガ「シーマスター DIVER 300M コーアクシャル マスター クロノメーター 42MM」

▲出典:オメガURL

 

素材:ステンレススティール
直径:42mm
ムーブメント:機械式自動巻き
税込参考価格:616,000円
防水性能:30気圧/300m防水

 
ダイバーズウォッチの代名詞とも言えるオメガの人気モデル「⁠シ⁠ーマスタ⁠ー⁠」。なかでも「DIVER 300M」コレクションは、300m防水と超高耐磁性能ムーブメント、ヘリウムエスケープバブルを備えており、最新の素材と技術を取り入れてアップデートされている。

 
レーザーエングレービングによる波模様のデザインに「Seamaster」の赤色のロゴ、オーシャンスピリットはそのままに進化し続ける、まさに伝説的なダイバーズウォッチだ。

 

ロレックス「サブマリーナー デイト」

▲出典:ロレックスURL

 

素材:オイスター、オイスタースチール
直径:41mm
ムーブメント:機械式自動巻き
税込参考価格:965,800円
防水性能:300m防水

 
ロレックスを代表するダイバーズウォッチ「サブマリーナー デイト」。2020年のモデルチェンジで、41mmのケース径となり、機械式自動巻きムーブメント「キャリバー3235」が導入された。それにより耐衝撃性がアップし、精度も高まっている。

 
時代を超えて愛される無駄のないデザインが、ビジネスシーンでも海でもオールマイティに似合う。ダイバーズウォッチの定番であり、性能も認知度もデザイン性もすべてが揃った名作。

 
魅力溢れるダイバーズウォッチについてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧いただきたい。

 

ダイバーズウォッチおすすめ18選|最新モデルを価格帯別に紹介

 

防水腕時計とともにアクティブな時間を過ごそう

 
今回は腕時計の防水性能や使用時の注意点などについて詳しく解説した。防水性能といっても、日常生活レベルから、深海での潜水までさまざまなレベルがある。あわせて紹介した定番のおすすめモデルを参考に、自分にあった防水腕時計を選んで、ぜひアクティブな時間を過ごしてほしい。

 

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