本日もJALグループの翼をご利用くださいまして、誠にありがとうございます。
私は夏になると、子どもの頃に陸上競技をしていたことを思い出します。陸上競技にはさまざまな種目がありますが、私はそのなかでもリレー競技の選手として活動していました。この種目は個人の走りに加え、全速力で走りながら行うバトンパスがとても重要です。このバトンパス、私たち航空会社にも通じるものがあります。
皆さまに今ご搭乗いただいている飛行機ですが、誰が飛ばしていると思いますか?それはパイロットでしょ!という答えが多いかもしれません。もちろん正解です。ただ、パイロットの力だけでは飛行機を飛ばすことはできません。
飛行機が出発するまで、多くの仲間が関わっています。例えば、空港でのチェックインや手荷物を預かる者、搭乗人数や手荷物の重量から飛行機の重心バランスを計算する者、貨物を飛行機に搭載する者、当日の気象状況をもとに飛行計画を作成する者、飛行機が安全に飛行できるよう整備する者、機内のお客さまの安全を守り笑顔でお出迎えをする者など、飛行機やお客さまに直接関わる者たち。
さらに、地上のオフィスでは、事務、営業、企画、販売などさまざまな分野で、現場で働く社員が力を発揮して仕事ができるよう環境を整える者たちもいます。パイロットを含めた現場で働く仲間はそれぞれ専門分野のプロフェッショナルであり、自身の業務が完了するとリレーのように次の現場へとバトンを渡していきます。
そして、安全の最終責任者でもある機長は、それぞれの業務が確実に行われているか確認をする監督の要素もあわせ持っています。全員がそれぞれの持ち場のプロとして責任をもって仕事を行い、地上オフィスから始まったバトンを次々とパスしていきます。その連携があって初めて1便のフライトが成り立っているのです。
プロとはいえ、時にはバトンパスがスムーズにいかないときもあります。連携がうまくいかないとき、私たちは「確認会話」を行います。「あれ?何かおかしい!」と感じたときは必ず立ち止まり、間違いなくバトンを渡すことができるよう、前や次の走者と話し合いをするのです。また、難しい環境のなかでもバトンがうまくつながったときには、それを褒め合う文化もあります。このようにして社員全員が、安全を守るという意識で業務を行っています。
私たちは今、出発地で受け取ったバトンを握りしめ、次の走者が待つ目的地へ向かっています。本日も確実なリレーで、皆さまに安全で快適なフライトをお届けいたします。どうぞごゆっくり空の旅をお楽しみください。
古川 雄一郎 Furukawa Yuichiro
J-AIR
エンブラエル170/190型機 機長
出身地:三重県
趣味・特技:旅行、家庭菜園
座右の銘:Boys, be ambitious!
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