腕時計の「ベルト」「バンド」は、いつも肌に触れているため、皮脂などの汚れがつきやすいパーツだ。そして汚れたり劣化したベルトは、意外と目につくもの。けれどもベルトを交換するだけで、時計の印象は大きく変わる。
本記事では、いつもの腕時計の雰囲気を変えたいと思っている方のために
・腕時計のベルトの種類
・自分でベルトをつけ替える方法
・おすすめのベルト専門店
について、紹介する。腕時計のベルトについての知識を深めて、ぜひ、お気に入りの腕時計をリフレッシュさせてほしい。
目次
腕時計のベルトにはどんな種類があるの?
主に、腕時計のベルト素材には、革、メタルブレス、ファブリック、合成素材などがある。それぞれの素材によって、腕時計の雰囲気が大きく変わるため、使用するシーン、スタイルに合わせて、選んでほしい。
革(レザー)
腕時計のベルトで、もっともスタンダードなのは革タイプ。柔らかいため装着感がよく、種類豊富なのが嬉しい。素材には、牛革、カーフ(仔牛)、コードバン(馬のおしりの部分)、クロコダイル、オーストリッチ(ダチョウの背中の部分)、などがある。
【メリット】
・素材、カラー、デザインの選択肢が多い
・装着感に優れている
・金属アレルギーを持っている人も使える
・黒革ベルトの腕時計は、フォーマルなシーンにも使える
・経年変化を楽しめる
【デメリット】
・水分や汗に弱い
・メタルベルトと比較すると耐久性が劣る
フォーマルなシーンでは、基本的に「黒革ベルト」「二針もしくは三針」「白文字盤」の腕時計が求められる。そのため、黒の革ベルトの腕時計は、一本持っているだけで安心だ。
金属(メタルブレス)
スーツにもカジュアルな服装にも合わせやすく、使えるシーンが広い。ボリュームがあるため、多機能でスポーティーなタイプの腕時計にぴったりだ。また、耐久性が高く、傷ついてもコマの交換や研磨などで対応可能。お手入れも、クロスで拭くなどと、簡単にできるため、日常使いする腕時計にもおすすめ。
【メリット】
・汗や水に強い。耐久性が高い
・ビジネスシーンでも、カジュアルにも使用できる
・お手入れしやすい
【デメリット】
・重い
・サイズが合わないことがある
・傷がつきやすい
・金属の種類によってアレルギーの方は使用できない
メタルブレスの素材には、ステンレススティール、チタン、ゴールド、ブラス(真鍮)などがある。デザインはコマが横一列に並ぶ「3連」「5連」「7連」、金属を編み込んだような「メッシュ」、異なる素材を組み合わせた「コンビ」などがある。
こちらはレディースウォッチに多く採用され、エレガントな印象を与えてくれる「メッシュ」タイプのベルト。特別な道具がなくても、バックル部分を取り外して簡単にサイズを調節することができる。
ファブリック(布やナイロン)
キャンバス、ナイロン、ポリエステルなどが使用された時計ベルトは、カジュアルな印象が強く、オフスタイルにぴったり。汚れた場合、素材によっては洗うこともできる。ファブリックのベルトに変えるだけで、腕時計の雰囲気ががらっと変わるので、イメージチェンジを楽しみたい方にもおすすめ。
【メリット】
・汗や水に強い。耐久性に優れている
・金属アレルギーを持っている人も使える
【デメリット】
・フォーマル、ビジネスシーンには向かない
合成素材(ウレタン樹脂やシリコンラバー)
ウレタン樹脂やシリコンラバーなどが使用され、弾力性があり、つけ心地が軽く、なじみやすい。カラーバリエーションが豊富で、カジュアルなシーンにぴったり。価格も比較的リーズナブルなので、気軽にイメージチェンジに挑戦できる。
【メリット】
・汗や水に強い。耐衝撃性に優れている
・金属アレルギーを持っている人も使える
【デメリット】
・フォーマル、ビジネスシーンには向かない
・合成素材特有の劣化がある
基本的に耐久性は高いが、保管方法が適切でないと劣化してしまったり、亀裂が入った際、そこからベルトが割けてしまうなど、合成化合物特有の劣化の可能性がある。
初心者でも大丈夫!自分でベルトを交換する方法を解説
ここでは、ベルトの交換の手順を解説する。初めての場合は、難しいように感じるかもしれないが、仕組みを知ると意外に簡単だ。
ただし、工具を使っての作業となるため、ケースに傷をつけてしまう可能性などもあり、あくまで自己責任となる。不安な場合は専門店やメーカーに依頼しよう。
ほとんどの市販腕時計のベルトは、自分で交換することが可能。気に入ったベルトを見つけたなら、チャレンジしてみてほしい。
ベルトを選ぶ/サイズを測る
まずはぴったりのベルトを選ぶために、サイズを確認することが大切。ベルトと時計本体が取りつけされる部分を見てみよう。ベルトの両側をはさむように出ている部分を「ラグ」と呼ぶ。このラグの幅を測ることで、ぴったりのサイズのベルトを選ぶことができる。
また、ベルトについている留め具「美錠」(バックル)をそのまま使用する場合は、美錠がつく位置のベルト幅も測ろう。
必要な道具と下準備
ベルト交換に必要な工具「バネ棒外し」を用意しよう。「バネ棒」とは、ベルトと時計を繋いでいる棒のこと。
また、腕時計には小さな部品が使用されているため、部品を無くさないように、作業する場所を整えよう。
そして時計はリューズを上にして、安定させる。
バネ棒の取り外し方
ベルト交換では「バネ棒外し」を使って、まず「バネ棒」を外す。
「バネ棒外し」は、両サイドがそれぞれ「I字型」と「Y字型」になっている。ベルトを取りつけている「ラグ」に穴があるかどうかで、使用する側を選ぶ。
この作業では、バネ棒が飛び出すことがあるので、紛失しないよう注意しよう。
【ラグに穴がある場合】
バネ棒外しのI型部分を穴に差し込む。押し込みながら、ベルトの片側をゆっくりとずらして外す。
【ラグに穴がない場合】
バネ棒外しのY型部分を、時計とベルトの間に差し込む。うまく差し込まれていないまま、無理に動かすと、ベルトや時計が傷つく可能性があるので注意しよう。下に押しながら、ベルトの片側をゆっくりとずらして外す。
【金属ベルト(メタルブレス)の場合】
隙間からバネ棒の溝が見えるので、そこにバネ棒外しのY型部分を差し込む。バネ棒を押し下げながら、ずらしてベルトを外す。
バネ棒の取りつけ方
バネ棒の外し方は、ラグの穴の有無によって異なるが、バネ棒の取りつけ方は、すべて同じだ。
1)取りつけるベルトのバネ棒が均等な位置にあるかを確認。
2)片側の穴に、新しいベルトに取りつけられたバネ棒を入れる。
3)バネ棒外しのY型部分で、バネ棒を押し下げたまま、ラグの間に入れ、穴にはめていく。
4)カチッと音がするとOK。
5)もう片方も同様に。
クリッカー(クイックレバー)タイプの着脱法
クリッカーとはレバーがついたバネ棒のこと。専用工具を使わずにベルトの着脱ができる。腕時計に傷をつける心配がないので、気軽にベルト交換をすることができる。
1)あらかじめ、ベルトとバネ棒を外す。
2)時計を裏返し、下側の穴にバネ棒を入れる。
3)ベルトのレバーを引くとバネ棒が縮むので、上側の穴に入れる。
4)同様に反対側も取りつける。
確認する
ベルトを装着できたら、軽く引っ張ったり、取りつけ部分を曲げたりして、ベルトがしっかりと取りけられているか確認しよう。
もし不安なら……専門店やメーカーに依頼しよう
交換方法は複雑ではないが、ケースやベルトに傷をつけてしまったり、小さな部品の紛失など、トラブルの可能性もある。そのため、不安があったり、心配な場合は専門店やメーカーに依頼するとよい。
高級時計や海外メーカーの時計は、メーカーに依頼するのがおすすめだ。純正ベルト交換は、数万円~100,000円以上になることもある。
時計修理専門ショップでベルト交換をする場合、工賃が1,000円~5,000円程度に、ベルト代が加わる。
また、家電量販店などの時計修理コーナーでは、ベルト交換は550円~1,100円程度+ベルト代。ベルトを購入すると無料で交換してくれるサービスがあるお店も。
また、専門店やメーカーへの依頼については、こちらも参考にしてほしい。
いろいろあって迷ってしまう!?おすすめの替えベルトショップ/メーカーをご紹介
最後に、腕時計用ベルトを選ぶのにおすすめのショップをご案内。
時計ベルト.com
業界最大数のベルト4,000本以上が揃う通販サイト。奈良県の腕時計・ベルト専門店「白銀堂」が運営している。
「ベルトブランド」「素材」「サイズ」「価格」などから、選ぶことができて、自分の求めるベルトが見つけやすい。また、ベルトを購入すると、ベルト交換用の取付工具も無料で一緒に送ってくれる。
BAMBI
1930年創立の時計ベルトメーカー。時計ベルトを「取り替える」消耗品としてではなく、ファッションとして「着替える」楽しみ方を提案している。
オンラインでの販売はしていないが、ウェブカタログや取扱店が紹介されている。一つ前にご紹介した「時計ベルト.com」でも取り扱いあり。
ベルトの種類、高品質なオリジナル商品から、メタルベルトの長さ調節方法まで、時計ベルトにまつわる情報が網羅されている。ぜひチェックしてほしい。
Amazon.com
気軽に時計ベルトを選びたいときにぴったり。品数が豊富で、レビューを参考に選ぶこともできる。リーズナブルなアイテムも多い。
腕時計ベルトを交換して、自分らしい腕時計ライフを楽しもう!
バリエーション豊富な腕時計のベルト。素材や色を変えるだけでも、腕時計の印象は大きく変わる。
腕時計の雰囲気を変えたいと思っている人は、ぜひベルト交換を検討してみてほしい。本記事で紹介したベルトの交換方法を参考にして、自分でチャレンジするのもいい。
使用する場所や気分に合わせてベルトを選び、自分らしい腕時計にカスタマイズしていくことで、愛着のある腕時計を、さらに長く、深く楽しむことができるはず。
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