1964年の東京オリンピックをきっかけとして制定され、運動会の開催日として定番となっていた「体育の日」。国民の祝日に関する法律が改正され、2020年より「スポーツの日」に名称変更された。
まだ耳慣れないという方も多いかもしれない「スポーツの日」だが、それもそのはず、初のカタカナ祝日である。今回は、スポーツの日をきっかけに新たなスポーツ像について考えてみたい。
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目次
「スポーツの日」の意義と新しいスポーツの数々
「スポーツの日」の意義は、「スポーツを楽しみ、他者を尊重する精神を培うとともに、健康で活力ある社会の実現を願う」ことと説明されている。
学生時代からスポーツに親しみ、日常的に体を動かす習慣のある人がいる一方で、スポーツを見るのもするのも興味がないという人もいる。
しかし、超高齢社会を迎えた日本では、健康促進や体力維持のためにスポーツへの関心は上昇中。ダイエットを目的に始める人も少なくないだろう。
そしてスポーツを始めようと思ったとき、従来のランニングやスイミングといった定番のスポーツにとどまらず、選択肢がさまざまに増えているのが現代のスポーツ事情の特徴である。
海外発祥の新興スポーツが日本で紹介され、国内で協会が誕生したり、日本大会が行われるようになったりするなど、スポーツを取り巻く環境は年々進化している。
ここからは、まだ耳慣れないが、今後注目を集めそうな新しいスポーツを紹介しよう。
ヘディス
ヘディスとは、卓球とサッカーのヘディングが融合したようなスポーツである。プレイヤーは卓球台を挟んで1対1で向かい合うが、ラケットもピンポン玉も使わない。
卓球台以外の道具は専用のボールのみ。直径15.9cmと小ぶりでゴム製なので、頭への衝撃も少ない。このボールをヘディングで相手へ返し、打ち合うというちょっと変わったスポーツだが、ルールは卓球とほぼ同じで明快だ。
ヘディスの発祥国はドイツで、大学生が混んでいるサッカー場の代わりに卓球台で遊んだことがきっかけで誕生した。ドイツでは、プロのサッカーチームがヘディスを練習メニューに取り入れるほか、体育の授業に採用する大学もある。卓球が盛んで卓球台が身近にあるドイツならではのエピソードだ。
親しみやすさから多くの人に好まれたヘディスの競技人口は増え、世界大会が行われるようになった。日本でも2017年に第一回全日本ヘディス選手権が開催された。
人気漫画『テニスの王子様』(集英社)の作者である許斐剛(このみ たけし)氏が、ヘディスをテーマとした『頭突け!!横浜謳歌高校XXxX部』(集英社)という読み切り作品を発表したことでも話題になった。
これから挑戦したいなら、スポーツセンターや卓球場のような施設をリサーチするとよいだろう。
フィンスイミング
フィンとは足ヒレのこと。フィンスイミングとは、足ヒレをつけて泳ぎ、水中でのタイムを競う競技である。1920年代頃から欧州で始まり発展してきた。日本では1989年に第一回日本選手権が筑波大学で行われた。現在は、「第2のオリンピック」と呼ばれるワールドゲームズの正式種目となっており、世界各国で人気が上昇中である。
フィンには、2枚のフィンを片足ずつ履くビーフィンと、両足を揃えて1枚のフィンを履くモノフィンとがあり、競技種目によってはシュノーケルも使う。
ビーフィンはクロールや背泳ぎなどと組み合わせると推進力が約30%、モノフィンはクロールと組み合わせると推進力が約50%アップするともいわれている。まるでイルカになったかのようなスピードを楽しめる水中競技として、スイマーを魅了する。
始めてみたい人は、フィンスイミングを教えているスイミングクラブやチームを調べてみてはいかがだろうか。
フットゴルフ
その名のとおりに、足で行う(蹴る)ゴルフがフットゴルフである。ボールは、サッカーボールの5号球を使う。専用のコースでプレーし、9ホールか18ホールを回り、蹴った数が少ないほうが勝ちとなる。
2009年にオランダでルール化され、2012年にハンガリーで第1回ワールドカップを開催。欧米を中心に競技人口が増加中で、既に40カ国以上で親しまれている。サッカーやゴルフができなくても気軽に始められるハードルの低さから、日本でも競技人口が増えそうだ。子どもから高齢者までのあらゆる年代で楽しめることも人気の要因である。
普通のゴルフ場ではなく、フットゴルフ専用に整備されたコースが必要なため、フットゴルフを教えるゴルフスクールを探してみよう。学生サークルや社会人チームもあるので、自分に合った方法で始めるのがいいだろう。
bilikker
ビリヤードとサッカーでビリッカー。フランス生まれの新しいスポーツで、現地では「スヌークボール」と呼ばれる。ルールはビリヤードとほぼ同様である。
ビリヤード台を大きくしたような競技場で、サッカーボールより小ぶりのサイズの手玉を蹴ったり、頭でヘディングしたり、数字の書かれたボールにぶつけ、それらをゴール(穴)に入れることで、勝ち負けを競う。
種目はいくつかあるが、ビリヤードと同様「ナインボール」がわかりやすい。9つのボールを1から順番に落としていくゲームで、1から8のボールは誰が落としても勝敗に関係なく、9のボールを落としたプレーヤーが勝ち。9を狙う段階になると盛り上がりも最高潮になる。壁のはね返りを使ってゴールを狙ったり、ヘディングで狙ったりと、上達すれば見せ場は多い。
複数人でプレーできるので、職場や学校のレクリエーションとしての広がりも期待される。お酒を飲みながら楽しむような娯楽性も強いので、パーティーなどのイベントでもお勧めだ。
eスポーツ
近年注目を集めているeスポーツ。eは「electronic(エレクトロニック)」の略。つまり、eスポーツとは、コンピューターゲームやビデオゲームなどの電子機器を使った対戦のことを指す。日本では「ゲームは遊びである」というイメージが強く、スポーツ競技としての認知度はまだ低いが、世界では高額賞金をかけて競う大会が多く実施されている。
eスポーツでプレーされるゲームは、シューティングや格闘、パズルなど、ジャンルは多岐にわたる。また、パソコンだけでなくスマホでできるゲームもある。今年の「アジア競技大会」の正式種目に採用されており、今後、注目が急上昇することが予想される。
スポーツもダイバーシティーの時代へ
社会で多様な価値観が認められるようになりつつある昨今、スポーツの世界でもダイバーシティーの時代が到来している。これまで知らなかったスポーツや、新しく日本に紹介されるスポーツに出合い、スポーツの魅力を再発見する人が増えそうだ。
また、これまでスポーツに対して苦手意識を持っていた人も、自分に合うスポーツを選ぶチャンスが増える。体を動かすことの楽しみに気づくことで、新しい世界が広がるだろう。「スポーツの日」をきっかけに、新たに挑戦してみてはいかがだろうか。
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