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旅行パッキング10のコツ|軽量化や上手な詰め方を基本から

旅を楽しくスムーズなものにするために欠かせないのがパッキング術。システマチックでコンパクトな荷造りができるなら、移動時の快適さはもちろんのこと、時間の節約で旅に余裕ができたり、お土産を壊さず無事に持ち帰ったりと、多くのメリットが享受できる。

 
ここでは、

 
・物を詰める基本の「き」
・パッキングに役立つグッズや考え方
・旅先やスタイルにあわせた旅行カバン選び

 
など、機内誌『SKYWARD』編集部の経験知から編み出されたパッキングのコツを紹介しよう。

 

そもそもパッキングとは?

大辞泉によれば、「パッキング」とは、「1.荷造りすること、包装」「2.荷造りの際、荷物が動かないようにすきまに詰める物。詰め物。パッキン」「3.管・容器の接合部などから液体や気体の漏れを防ぐために詰める物」などとある。

 
では「荷造り」は、と引いてみると、「品物を運送できるようにひもをかけたり、包んだりすること」とある。

 
この記事では、自分が旅先に持参したい荷物を、カバンなどに詰める作業をパッキングと呼び、それをどうすれば効率的に行えて、旅先でストレスなく行動できるかを考えてみたい。

 

物を詰める基本の「き」


いい旅の第一歩は、荷物の上手なパッキング。ここではスーツケースを例に、持参する洋服や小物を上手に収納するコツを紹介しよう。

 

仕分け方

パッキング=「詰め方」と考えがちだが、実はその前段階の「仕分け方」がパッキングの成否を大きく左右する。

 
片付けのコツと同様、まずは旅に持っていく荷物を全て一箇所に広げてみよう。そこから使うシーンごとに仕分け、グループを作る。

 
グループのアイテム量に応じて、ポーチやミニバッグ、風呂敷などの入れ物を検討すれば、旅先で驚くほど快適に過ごせるハズだ。

 
ちなみに使用シーンは時系列で考えるとわかりやすい。大まかに以下の4シーンが考えられる。

 
1.クルマや列車、飛行機などの「移動中」に使うもの
2.旅先・立ち寄り先で使うもの
3.宿泊先で使うもの(夜使うもの/朝使うもの/〇日目に使うもの)
4.帰宅前に使うもの

 

カバンの中でのベストポジション


シーンごとにアイテムを集め、それぞれをまとめる入れ物(ポーチ・サブバッグ・風呂敷など)を決めたら、どのようにカバンに入れていけばよいのか。この記事の肝である。

 

使用シーンに応じて配置

一番の基本は、使用シーンに応じてカバンの中での配置を決定していくこと。

 
上記のように時系列で分けた場合は、取り出しやすい場所から1〜4の順に配置していくとスムーズだ。

 

重心を意識する

重心についても留意しておきたい。スーツケースの場合は、移動時に下にくる車輪側に重たいものを、リュック(バックパック)の場合は逆に重たいものをやや上の背中側・軽いものを下部の外側に配置すると軽く感じられる。

 
また、床に平らに置いた状態で美しくパッキングしたつもりで、いざ持ち運んで見るとそれぞれの荷物の重みで混沌としてしまうこともある。スーツケースの仕切りやベルト、ポケットなども活用し、持ち運んだらどうなるかというシミュレーションを一度は行っておきたい。

 

見られても困らないかチェック

配置や小袋などについては、同行者に見られたり、空港などでカバンを全開にせざるをえない事態も想定して決定するのがおすすめだ。

 

例えば見られたくない下着などはさらに小さな小袋に入れることも考えたい。圧縮袋や、旅行用をうたう仕分け袋も活躍する。

 
とはいえ、あまりに細分化しすぎると逆に旅先で困ることになる。おすすめはできるだけ大きくまとめ、必要を感じたら小分けにすること。小袋や専用ポーチも、意外に重量や体積がかさむのだ。

 

あらかじめ空きスペースを確保

さらに帰路ではお土産などの荷物が増えることを想定して、あらかじめ何もいれない場所を作っておくことも強くおすすめしたい。この時、最低でも全量の1/3、欲を言えば1/2ほどの空き空間があれば心強い。

 
カバンに余裕があれば、着用していったものの旅先では活躍しなかった防寒着なども収納でき、スマートに移動できる。

 
空間の余裕は、心の余裕と心得たい。

 

洋服のパッキング

持参する荷物のなかで、多くの場合に最も大きな面積を取るのが、洋服だ。このとき「洋服のたたみ方」によって荷物の大きさはかなり変わる。

 
たたみ方は流儀がいくつかあり、一概にどれが最善だとは言い難いが、自分なりにベストなたたみ方を模索してみてほしい。編集部のおすすめを2例紹介しておく。

 

くるくる巻き

小さくたためる術としてしばしば紹介されるのが「くるくる巻く」方法。Tシャツや下着などをたたんで巻けば円筒状になり、わずかな隙間に無駄なく詰められる、というものだ。

 
空間の無駄がない一方で、服がシワになりやすいという欠点もある。巻くのは下着類だけにしておくなども一案だ。

 

丁寧に重ねる

種類ごとに一枚ずつ重ねる方法も順当におすすめ。シャツならシャツ、下着なら下着、靴下なら靴下と、種類ごとにきれいにたたんで整然と詰める。ポイントは何より「丁寧にたたむ」こと。雑でぐちゃぐちゃなのが最も無駄に空間を取る。着用後は圧縮袋に入れれば、簡単なたたみ方でもかさばらない。

 

余談:Tシャツ類を一瞬でたたむ方法

ちなみに、Tシャツの片方の肩と脇腹部分をつまんで一気にたたむ「Tシャツを一瞬でたたむ方法」は、パッキング時間の大幅短縮に役に立つ。長袖には転用しづらいがこの方法が活躍する機会は多いので、覚えておくと役立つかもしれない。

 

1)Tシャツの着丈を等分し、肩をA、裾をC、着丈の真ん中をBとする。各位置を覚え、AとBを軽くつまみあげる。

 

2)A(肩)をつまんだ手を離さないままC(裾)もつかむ。

 

3)そのまま持ち上げた後、床面を使ってシャツの左隅を奥へとたたむ。

 

4)下ろして四角形に。

 

5)さらに半分にたためば完成。

 

帰り支度のパッキング

旅先での帰り支度が行きと違うのは、洗濯物などの汚れ物があることや、お土産で荷物が増えていたりすることだろう。

 
割れ物は柔らかいタオルやシャツ、ジッパー付きポリ袋やエコバッグなどを活用して包み、壊れないようにパッキング。増えたお土産を帽子などの空洞に詰めたり、予備の靴の中にビニールに包んだ靴下などを詰めたりすると、スペースの節約と型崩れ防止の一石二鳥が期待できる。

 
酒類など瓶が割れたり漏れたりする可能性があるものは、衝撃から守る梱包に加えて、こちらもジッパー付きポリ袋を活用すれば、万一の際にも被害が少なく済むことが多い。液体の化粧品なども同様だ。この場合ジッパー付きのポリ袋は空気をあえて多めに含ませて密閉することで緩衝材の役目も果たしてくれる。

 
洗濯ものの仕分けも重要な要素。圧縮袋やランドリーネット、ジッパー付きポリ袋・風呂敷など、自分なりの「洗うものと洗わないもの」または「通常の洗濯とおしゃれ着洗い」などを分けるアイテムを用意したい。これがあれば帰り支度もしやすいし、帰宅後の片付けも早く済む。

 
帰り支度は行きより荷物が増えがちなうえ、行きよりも短時間でのパッキングが要求される。そんなときにも慌てず済むコツは、先述の位置決めだ。定位置を決めておき、お土産スペースもあらかじめ空けておいた定位置に収めると、もう帰路に就ける。

 

仕分けや軽量化に役立つ便利グッズ

 
この項では、スーツケース内の仕分けに役立つ便利グッズや、余分に持っていくと帰りに役立つものを紹介したい。

 

ランドリーネット

100円ショップなどで手軽に入手できるランドリーネット。複数持って行き、着終わった服をこれにしまえば、帰宅後はそのまま洗濯機にポンと入れるだけで済むなど便利。

 

ジッパー付きポリ袋

これは大小ともに持っておきたい。食品用の大きめのものは液体系のお土産の漏れ・割れ対策に便利。小さなものは化粧品や小物の仕分け、なくしそうなジュエリー・アクセサリー類の保管などにも役に立つ。

 
国際線搭乗時に飛行機内に「100ml以下の液体物」を持ち込むときは、容量1L以下の透明なジッパー付きポリ袋に入れて検査を受けることが義務付けられているので、そうした意味でも必携アイテムといえるだろう。

 

圧縮袋

最近では旅行用と銘打った「衣類圧縮袋」や「衣類圧縮バッグ」も販売している。空気を押し出して容積を減らし、衣類をコンパクトにできる。

 

風呂敷

風呂敷は多用途アイテムの代表格。洋服を仕分けたり、シワにならないようにシャツをくるんだり、皆に配る「バラマキ土産」をまとめたいときにも便利だ。そのほかにも大浴場に行く際に着替えを包んだり、肌寒く感じたときに急場凌ぎのストールとして……などという使い方もできる。

 

充電機器類を減らすためのグッズ

充電器は重たい荷物の筆頭だけに、持っていく電子機器類をなるべく同じUSB式充電器で充電できるよう統一するなど工夫したい。海外旅行の際の変換プラグは、一つで世界各国に対応できるアイデアグッズが定番だ。

 

試供品のコスメを活用

化粧品類がかさばるケースも多いはず。数泊程度の旅なら個包装の試供品を活用するのも一案。お気に入りのアイテムを小分け容器に入れ替えて持参するのもおすすめだ。ジッパー付きのポリ袋に入れて持ち運べば、万一の漏れ・割れの際も被害が最小限で済む。

 

エコバッグ

日常生活で活躍するエコバッグは、旅のパッキングにも役立つアイテム。行きは荷物の仕分けに使い、旅先で荷解きした後はエコバッグとして活用。帰りは梱包に使ったり、丸めて荷物の間に入れて緩衝材の役割をさせるなど、意外に使い道が多いもの。

 

軽量化のアイディア:旅行中に洗濯をしてみる

 
旅行中に洗濯をするかしないかで荷物量はだいぶ変わる。特に3泊を超える場合は、セルフで洗濯をしたり、ホテルのランドリーサービスを活用するのも手。

 

ホテルのランドリーサービスを活用する

ホテルのランドリーサービスは、専用のビニール袋に入れてベッドの上に置いておくと、朝引き上げてくれて夜には洗い上がっている……といったもの。

 
ホテルの格や国によって金額はまちまちだが、日本国内の中級ホテルでの水洗いクリーニングの場合、おおむね以下のような金額が1着あたりの目安。ワイシャツ、ブラウスなど300円~500円。ズボン、スカート600円~800円。下着、ネクタイ、靴下などの小物類150円~300円。プレスやドライクリーニングはもちろんこれよりも高い設定になる。

 
積み重なると決して安くはないものの、旅先での時間節約とプロの手による洗い上がりを考えるなら、時に応じて上手に利用してみたい。

 

コインランドリーを活用する

国内旅行の場合、ビジネスホテルや海辺のリゾートホテルなどにはコインランドリーがあることも多い。洗濯機1回300円程度、乾燥機は運転時間によるが数百円くらいからといった具合だろう。洗剤を100円ほどで別に購入するケースも多いため、最初から使うとわかっているなら小さなパックで自宅から持参する方法もある。

 

洗濯グッズを持っていく

ホテルや旅館の客室でふだんの暮らしと違って困るのは、「思った以上に洗濯しづらい」ことだろう。そもそも旅先の客室は非日常を楽しむ空間であり、だからこそ日頃の雑事の最有力(?)ともいうべき「洗濯」などは、しない前提で作られていることがほとんどだ。

 
そんななかでも「洗面ボウルでちょっとした服を手洗いしたい」という方は、洗濯グッズを持参する手もあるだろう。最初から小分けされた旅行用の洗剤、シリコン止水蓋(特に海外の安価な宿でゴム栓がない場合など)、下着類を干せる小さな洗濯ハンガーや洗濯バサミなどが挙げられる。

 
コインランドリーの場合も乾燥機で衣類の生地を痛めることが多いので、洗濯機だけ利用して干すのは自室でハンガーに……という使い方も現実的。

 

不要な洗い物を自宅に郵送

帰路のお土産スペースを確保するための奥の手。家人が荷物を受け取って洗濯をしておいてくれる場合は積極的に活用したい。一人暮らしでも、荷物の到着日を帰宅日や翌日に指定して発送すると便利。

 

カバンから見直してみる

あまり注目されないが、パッキング術は「どんなカバンで行くべきか」を選択するところから始まっている。一度立ち止まって、旅先や旅の目的、自分のスタイルにあった旅行カバンを選ぶことから考てみえよう。

 
よほど身軽な旅でない限り、泊まりがけの旅行カバンはスーツケースないしはバックパックが二大候補。それに加えてボストンバッグあたりが主要な選択肢となるはずだ。

 

スーツケースのメリットとデメリット

 
飛行機や新幹線の旅など、長距離移動で最有力なのはスーツケースだ。キャスター(車輪)があって引いて運べるので少しぐらい荷物が多くても安心で、重たい荷物が苦もなく運べる点は大きなメリット。

 
また、堅牢で壊れ物も運びやすいので、お土産で酒類や陶器などを買った場合にも安心して持って帰ることができる。

 
サイズ選びの大まかな基準は1~2泊で25L程度、2~3泊程度で25~40Lくらい。それ以上の長旅や趣味のアクティビティーを兼ねた旅、ドレスコードのある旅など、荷物が極端に増える場合は海外旅行にも多用される60Lクラスまでもが視野に入る。

 
逆に1~2泊の短い旅が多い人や慌ただしいスケジュールになりがちな人などは特に、機内持ち込みが可能なサイズを一つの目安にするのも使い勝手がよくていいだろう。

 
ちなみに機内持ち込み可能サイズは通例、国内線100席以上の飛行機と国際線では「3辺の和が115cm以内」、国内線100席未満は「3辺の和が100cm以内」。いずれも重さは10kg以内となっている(前記はJALの場合。航空会社や時期、機材などによって異なる)。

 
機内持ち込みの詳細はこちら

スーツケースの機内持ち込み|メリットは?サイズや重さも解説

 
なお、スーツケースの最大のデメリットは階段や石畳などのでこぼこ道に弱いこと。田舎への旅、移動・乗り換えが多い旅では機動力が下がるので注意したい。

 
また、容積が変化しないので適切なサイズを選ばないと「無駄に大きかった」「小さすぎて荷物が入りきらなかった」という事態になるのも、デメリットの一つといえるだろう。

 
スーツケース選びについてはこちらを参照

自分に合ったスーツケースの選び方|5つのポイントをチェックしよう

 

バックパックのメリットとデメリット

 
普段の気取らない旅に最も活躍するのがバックパック。両肩で背負う構造ゆえに両手があき、身軽に動けるのが何より嬉しい。日帰りなら20L程度、1泊なら20~30Lくらいが一般的で、各ブランドともラインナップが多くある。

 
荷物の中身や体格などにもよるが、おおむね40L以上だと背負ったときにずっしりと重く感じるもので、そこまでの荷物があるならスーツケースも考えたい。

 
デメリットの第一は、スーツケースに比べて荷物を精査する必要があること。何しろ持ち物すべての重さが双肩にかかるわけだから、無駄な荷物で重たい思いをすることはできる限り避けたいものだ。

 
荷物の取り出し口が限られ、スーツケースのように全開できない点も要注意。奥に押し込んだものは取り出しづらいため、よく使うものを上にするなど詰め込む順序にも工夫が必要。

 
また、背面や側面に小さなポケットがあるものが多く、防犯面には気をつけたい。小さなポケットは便利でつい財布やチケットなどを入れがちだが、背負った際にうしろで誰かにジッパーを開けられても気づきにくかったり、どこかに置いて目を離した隙に簡単に開けられてしまう可能性もある。

 
そしてバックパックは基本的に「カジュアルなカバン」だ。高級ホテルや割烹旅館など一定の格式を備えた場所に出入りする際には、バックパックではなく、もう少しフォーマル感のある旅行カバンを選びたい。

 
バックパック選びについてはこちらを参照

旅行におすすめのリュック/バックパック10選!選び方も解説

 

ボストンバッグのメリットとデメリット

 
例えば「高級割烹旅館に夫婦でのんびり1泊滞在するだけ」といったスマートな旅行には、ボストンバッグが役に立つ。ブランドものや仕立てのいいバッグなら、ほどよいフォーマル感とリゾート感を両立できる。バックパックほどラフでは困るがスーツケースをごろごろやるほどでもない……というときに、ボストンバッグは重宝する。

 
ただ、ボストンバッグはバックパックにも増して荷物を減らす必要がある。最低限の洗面用具・化粧道具と1泊分の着替えだけ、といった場合が妥当だろう。片方の肩に掛けるか片手で持つかというスタイルだけに、重量があり過ぎると途端に厳しい旅になってしまう。

 

自分なりの流儀で、余裕を持ったパッキングを

 
長くなったが、以下にポイントをまとめてみよう。

 
1.持参する荷物を全て一箇所に出す
2.使うシーン別に仕分けてグループを作る
3.グループごとにポーチや風呂敷、インナーバッグなどを活用してまとめる
4.グループごとに旅行カバン内の最適な場所に配置
5.配置する際は重心も意識する
6.見られても困らない状態になっているか確認
7.あらかじめお土産用の空きスペースを作っておく
8.洋服のたたみ方を検討する
9.道中の洗濯やランドリーサービスも検討する
10.旅行カバンを吟味する

 
こうした旅行パッキングの技は、一度身につけると日常生活でも何かと役に立つ。ぜひ、明日からの日々に役立ててほしい。

 
どうか快適なご旅行を。Good Luck!

 
 

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